研究課題/領域番号 |
17K18152
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
李 振 東洋大学, 経営学部, 准教授 (30759923)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 消費者行動 / アイトラッキング / ビジュアル・マーケティング / マーケティング・サイエンス / 購買意思決定 / 視覚的注意 |
研究実績の概要 |
2020年度では、次の内容を中心に研究を行った。従来の調査によって得られた理論的な結論を実際の行動データで検証した上で、消費者意思決定プロセスをより理解し、その検証によって得られた新しい知見に基づいた効果的なマーケティング活動を可能にすることを目指し、具体的に、(1). Web広告の表現形式が消費者の注視プロセスないし購買意思決定に及ぼす影響、と (2). 商品の様々な特徴の組み合わせによる(1)の関係の変化を、多様なデータから分析し、Web広告の効果を測定してみた。 アイトラッキング実験において、本研究は、アイトラッカーのほか、Web-Camを基にした視線測定プログラムを開発し、オンラインによる視線追跡実験を大量に試みた。複数のWeb広告に対する被験者の注視時間、順序、頻度などの注視に関するデータを収集し、Web広告の表現形式、対象商品の特徴、および消費者の注視情報との相互関係を解析した。また、アイトラッキング実験の結果を踏まえて、視線追跡データにWeb-logデータと調査票データを加えし、製品と広告特性の組み合わせを考慮した上で、Web広告に対する注視情報と消費者の購買意思決定との関係を解析した。 具体的な研究成果として、本研究は下記の2つの研究を中心に展開してきた。 1. 消費者の自己制御(セルフコントロール)と広告に対する注視行動の関係を測定し、消費者の広告に対する注視が健康・不健康食品への購買意思決定に及ぼす影響を調べた。 2. 広告段階効果モデルを基に、海外製品に関するWeb広告が消費者の認知・感情・行動意図に与える影響を調査票で測定した上で、製品広告に対する注意行動を加え、広告特徴と消費者の視覚的注意、認知、感情、および購買意思決定との関係を分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1. パスデータの処理の難しさにより、想定以上の処理時間がかかった。 2. 新型コロナウイルスの関係で、フィールド実験の実施が困難になり、オンライン実験に変更していたが、Web-Camの性能によりRawデータの精度が悪く、精度調整の処理が必要となる。 3. Web会議等の関係で、共同研究者との意見交換がうまく進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
Web-Camを用いた実験データの精度を修正しながら、可能な限りフィールド実験を復活できるように努力する。また、共同研究者と適宜ディスカッションを行い、モデリングや分析手法の妥当性を向上しながら様々な推定方法を用いて分析を進める。また、現在投稿中論文 (Journal of Business Research) の審査意見に従い、論文修正を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
1. 新型コロナウイルスの関係で、フィールド実験がうまく実施できなかった。 2. 2020年度に参加予定の国際会議とワークショップは延期・中止になっていた。
以上の理由で、次年度使用額が生じていた。次年度では、フィールド実験と国際会議での報告を積極的に行う予定であり、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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