本研究では、電子ピアノ、グランドピアノ、チェンバロといったいくつかの鍵盤楽器を対象として、演奏動作と感情の関係を解明してきた。また、その結果を用いて教育用可視化システムを作成することで教育へ活用することを目指した。本研究で検討した鍵盤楽器は、電子ピアノ、グランドピアノ、チェンバロであるが、その理由は、それぞれの楽器の特性が異なるからである。具体的には、鍵盤のタッチレスポンスや音色がそれぞれ異なる。これらの3種類の鍵盤楽器による演奏表現の方法について、モーションキャプチャシステムを用いて、プロの演奏家と研鑽過程の音大生の比較を行った。最終的に、プロの演奏家と音大生の演奏家を合わせて、12名を計測することができた。各人の演奏動作を分析し、演奏動作と感情の関連を検討できた。また、演奏教育用のためのグラフィカルな提示システムを開発も進めることができた。そして、そのシステムを実際の教育現場で用いてもらい、そのシステムの評価を伺うことができた。このような研究を通して、演奏者が初心者であっても、よりわかりやすく演奏動作の「コツ」を修得することが可能となり、演奏の向上や熟達に貢献できると考えている。
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