研究課題/領域番号 |
17K18160
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
関根 鉄朗 日本医科大学, 医学部, 講師 (00747826)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | Turblent kinetic energy / 流体解析 / 4D Flow MRI / エネルギーロス / CFD / 高速撮像法 / bipolar gradient / k-t PCA |
研究実績の概要 |
Gyrotools社よりk-t PCAを組み合わせた4D Flow MRIシークエンスの提供を受け、撮像を開始した。現行で、8倍速程度の高速化を実現し、従来より2倍程度の撮像時間短縮を可能とした。k-t PCAアルゴリズムに含まれるデノイジングにより画質も改善した。問題点として、現行のk-t PCAシークエンスはprospective収集のみである事から、RR間隔の前後の一部を収集しておらず、従来法と比較して若干の定量エラーが不可避である事が分かった。 上記の様に基礎検討レベルでは十分な成果が得られたが、既に臨床検討を複数走らせている頭部血管領域において撮像シークエンスを中途で変更する事は、エビデンスレベルの高い報告を行う上で不向きであるとの結論に至った。なお、これらの脳血管領域の報告については、2017年の北米放射線学会や2018年の国際磁気共鳴学会の報告において複数の受賞を獲得している。 上記を受け、本研究を更に発展させ、心血管領域へのk-t PCA+4D Flow MRI撮像を開始した。高速撮像法を行う事で、臨床検査時間枠内でのbi-polar gradient負荷セット数を爆発的に増やし、それぞれのbi-polar gradientの強度に比例したmagnitude imagingのdephaseの程度からTurbalent kinetic energyを画像化する事に成功した。これにより、従来のいかなるimaging modalityでも描出不能であった流体エネルギーの可視化に成功した。本手法はvoxel sizeに対してrobustであり、現行で国内・海外の研究者が提唱している流体力学的手法から導かれるenergy loss算出と比較して、正確性が高い事が推定される。 今後、脳血管領域の検討で得られた基礎的な知見を元に、定量正確性の証明や臨床検討を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究を申請した時点での計画における脳血管を対象にした検討の大部分を進めた。本研究に紐付いた脳血管領域の検討において、複数の学会賞受賞、論文報告を既に行っている。現時点では対象領域を心血管まで応用し、基礎・臨床検討も開始している。当初の研究計画を上回るスピードで研究を遂行している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で得られた脳血管領域の知見に付いて学術的報告を行いpublicationを目指す。 本研究を発展させて取り組んでいるTurbalent kinetic energyに付いての基礎・臨床検討を行い、学術報告を行う。Turbalent kinetic energyの検討を行っている国内研究者は皆無であり、概念理解に至っても全く不十分である。Gyrotools社との共同研究によりエンドユーザーレベルで簡便に扱いが可能な撮像パッチの開発を継続し、国内での本知見についての啓蒙活動を行い、研究者を増やす事で本邦における学術知見交換が可能となる場の構築を目指す。それと共に、同研究を行っているZurich, Linkoping, Kangwonとの学術知見を元に、申請者所属施設における適切な対象疾患の選定を行い臨床知見の蓄積・学術報告を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画に当たって購入予定であったresearchシークエンスの開発が遅れ、次年度に繰り越しになった。これに付いて、2018年度分予算で購入予定である。
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