折紙を基に生まれた折りたたみが可能な構造(折紙構造)の注目点はその形状変化だけではない.構造が持つ力学的・機械的特性を解明すると,形状変化以外の新たな機能を創出し工学的な付加価値を生む.本研究では,折紙構造の双安定な伸縮挙動に着目した防振器を設計,問題点を解決し,その防振性能を実験により評価,防振原理を理論的に明らかにすることを目的としている.2020年度は以下の点に取り組んだ.
・ヒステリシスの低減による防振性能の改善 ばねの組み合わせで構成される防振器のばね特性は展開時と収縮時で異なるヒステリシスが見られた.この原因として,防振器に使用したコイルばねそのもののヒステリシスが影響していることが明らかになったため,あらかじめヒステリシスが小さいばねの選定やヒステリシスが小さい変位領域で防振を行うことができるよう設計変更を行った.また,非線形振動を表現できる数値モデルを作成し,振動振幅を変化させた時およびスイープ加振を行った時の応答を計算することにより,実験で見られた現象を理論的に説明付けることができた.これらの成果は,2021年度日本機械学会年次大会にて口頭発表の予定である.
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