本研究で判明したナノセルロースの伝熱異方性により、熱流を制御するフォノンエンジニアリング材料が広く開発可能となる。特に、熱膨張係数や透明性との同時制御が可能な熱流制御紙は、高密度実装された電子デバイスからの排熱を効率化する基材への展開が期待される。また、セルロースの基礎光学特性である固有複屈折の導出により、ナノセルロースを本格的な光学部材へと展開する可能性が拓かれた。これにより従来配向度が正確に導出できなかったセロファンなどの非晶性セルロース材料において配向度の定量評価が可能になるため、セルロースのさらなる精密な活用が推進される。
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