研究課題/領域番号 |
17K18179
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
塩崎 悠輝 早稲田大学, イスラーム地域研究機構, その他(招聘研究員) (00609521)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | イスラーム / 東南アジア / マレーシア / インドネシア / ファトワー / イスラーム法学 / ムスリム同胞団 / ロヒンギャ |
研究実績の概要 |
2018年度は、論文を4件(日本語2件、英語2件)執筆するとともに、口頭発表2件(国際会議1件、国内シンポジウム1件)を行った。また、年度中の刊行には至らなかったが日本語の図書1件の執筆を進めた。 論文の1つ、Yuki Shiozaki. “The Influence of the Muslim Brotherhood in Southeast Asia: The Islamic Party of Malaysia and the Prosperous Justice Party in Indonesia” (SIAS Lectures. Vol. 2. pp. 20-38)において、研究目的である東南アジアと中東の間のイスラームの知的・思想的影響についてのこれまでの研究をまとめることができた。この論文集の共著者であるステファヌ・ラクロワ氏(パリ政治学院准教授)との研究協力体制を整えることができたことは、今後の研究において有意義である。 別の論文、塩崎悠輝「マレーシアにおけるロヒンギャ難民と教育 公共的課題としての難民の社会統合」(SIAS Working Paper Series、30号、39-53ページ)では、研究目的の一つである東南アジアと南アジアをつなぐイスラームのネットワークについて、ロヒンギャ難民の移住を通して考察した。ロヒンギャ難民問題の研究は社会的意義を持つとともに、この研究の課題であるイスラームの知的ネットワークが背景にあり、今後もさらに他の研究者たちとの共同研究というかたちで研究を進めていく予定である。 2018年度中は、今後さらなる研究を進めていくために、マレーシア、インドネシアで複数の現地調査を行った。現地調査においては、今後の研究のために非常に有用な資料を収集するとともに、現地の研究者たちとの協議を通して、共同研究を進めていく準備を整えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2018年度は、十分な量の論文の刊行、国際会議での口頭発表を行うことができた。また、現地調査では今後の研究の進展のために有用な資料を多数入手した。さらに、ヨーロッパや東南アジア諸国(特にインドネシア)において、活発な研究活動を行っている複数の若手研究者たちと共同研究のための協議をまとめることができたのは、今後の研究の進展のために大きな意義がある。本研究の研究計画遂行のためには、東南アジアや中東、南アジアにおいて資料を収集するとともに、資料の読解や資料の歴史的背景について情報交換や研究成果の共同発表を多くの研究者と国際的に行うことが必須である。したがって、2018年度の研究は、今後の研究への準備も含めて、当初の計画以上に進捗したといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、これまで収集してきた東南アジアのファトワー(教義回答)を分析するとともに、分析を補完するために東南アジア、中東、南アジアのウラマー(イスラーム学者)に聞き取り調査を行う。そして、歴史研究者を中心に、政治史、政治制度、社会史、海洋史、経済、社会学、人類学等の分野の研究者らと共同研究を行う。その際、共同研究を行う研究者らは、東南アジア地域を専門とする研究者に限らず、他地域、特に中東と南アジアの研究を専門とする研究者らと積極的に共同研究を行う。 2020年度は、研究成果を発表していくとともにフィードバックを得るために、国際的な口頭発表に重点を置く予定である。2021年度は、英語の著書を中心に、論文をまとめて刊行していくことに重点を置く予定である。2019年度は、これらの研究発表の準備のために分析と複数の口頭発表、論文執筆を行う方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度は、マレーシア、インドネシアでの現地調査が想定よりも長引いたため、予定していた中東での現地調査を行えなかった。2019年度に中東、南アジアで現地調査を行うことで、次年度使用額を使用する計画である。
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