研究実績の概要 |
本研究の目的は、東南アジアで支配的なイスラーム法学派であるシャーフィイー派について、東南アジアにおける受容過程と独自性を明らかにすることである。そのために、本研究では、中東や南アジアといった他地域との歴史的交流について、文献資料の分析を通して研究してきた。 本研究は、新型コロナウィルス関連の渡航規制により国外での現地調査ができず、進行が遅れていたが、2022年度には国外調査も可能になり、2023年度にはそれまでの研究の成果を発表した。 2023年度は、須永恵美子・熊倉和歌子編『イスラーム・デジタル人文学』(人文書院、2024年)の1章を執筆し刊行に寄与した他、英語の著書2冊、日本語の著書1冊に執筆した。 英語の著書は、CoronAsur: Asian Religions in the Covidian Age(University of Hawai'i Press, 2023)とMatrilineal, Matriarchal, and Matrifocal Islam: The World of Women-Centric Islam (Palgrave Macmillan, 2024)の2冊である。 以上の研究実績は、中東、南アジア、東南アジアを横断したイスラームの知の継承と、それが行われる場としてのムスリム社会に関する研究である。同時に、これらの研究実績は、テキストデータの処理や人的ネットワークの分析といった、いわゆるデジタル人文学の最新の研究方法をいかにしてイスラーム研究に応用していくかという問題意識のもと、今後の研究のための基礎的研究という面も強く、今後、新たな研究を準備し推進するうえで必要な研究実績でもあった。
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