研究実績の概要 |
血中循環腫瘍細胞(CTC)を無染色で識別し、分取する装置の技術開発を進め、従来のセルソーターの光散乱強度計測や蛍光強度計測などでは取得できない画像情報から得られる「かたち」情報に基づいて細胞を選別する「マルチイメージング・セルソーター技術」によるCTCの回収を試みている。これにより従来の抗体標識/細胞サイズ分画技術では定量的解析や回収が困難なCTCのリアルタイムで解析し、回収した「細胞(塊)」の1細胞、1細胞塊レベルでのゲノム、発現解析、さらに再培養による分子マーカーの発現を相関的に比較し、上皮間葉転換(EMT)仮説やCTCの特性を生物学的な解明につながると考えている。 初年度、研究計画の骨格をなす、微細流路系、光学系、高速カメラ撮影、画像認識技術といったシステムの全体的な構築に成功し、また、生きた細胞のゲルへの包埋(カプセル化)技術を取り入れて(Odaka, M et al., Jpn. J. Appl. Phys., 2018)、微弱な外部電場のスイッチングによる効果的な分離技術の開発を進めた。 昨年度は、がんの培養細胞を移植したラットのがん細胞の転移モデルより血液を経時的に採取し、その血液中の大きな細胞(塊)を調査し、移植していない群と比較して移植したラットの血液にはより大きな細胞(塊)が存在することを明らかにした(Odaka, M et al., Micromachines, 2019)。さらに、より正確な画像認識のための前処理流路の検討にも成功した。 また、本研究を遂行することで所属機関・研究室の研究活動の発展に効果的に貢献し201た。
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