研究課題/領域番号 |
17K18184
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
安井 清峰 早稲田大学, 地域・地域間研究機構, その他(招聘研究員) (60756302)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 国際紛争 / 選挙 / 世論 / 観衆費用 |
研究実績の概要 |
本年度はコロナ禍の影響による補助事業期間延長1年目であり,基本的には,これまで行ってきた研究の成果とりまとめに向け,論文執筆に注力した.本研究は,国内世論や選挙が担保するアカウンタビリティが国際紛争における国家の対外行動の信憑性,そしてひいては国際紛争の帰結に与える影響の究明を目的としている.理論的には,いったん行った武力行使の威嚇を取り下げる政治指導者に対し有権者が政治的制裁を下すという観衆費用理論をベースとしながら,その観衆費用の大きさが選挙サイクル,すなわち国政選挙の近接性や政治指導者に対する有権者の支持率・支持態度によって条件付けられることを明らかにしてきた.その過程で,とりわけ有権者に着目し続けてきたことには,国際紛争によって生じる人的犠牲に対する市民の犠牲者敏感姓や,国際紛争の様々なアウトカムを当事国の国民は実際どのように評価するのかといった,近年,研究が蓄積されつつある隣接分野の知見も取り込みながら,今後の本研究を発展させていく狙いもある. 実証分析では昨年度から,武力紛争のスタンダードなデータセットであるMIDs (Militarized Interstate Disputes)データに加え,武力行使の威嚇に特化したMCT (Militarized Compellent Threat)データも用いており,引き続き分析の精緻化に取り組んだ.他方,これまでの研究発表の際,本研究の理論的主張に対し,実際に生じた国際紛争による具体的なイラストレーションを求められることが度々あったのを踏まえ,今年度は事例研究にも注力した.具体的には,湾岸戦争(1991年),イラク戦争(2003年),シリア危機等の経緯を再検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来であれば昨年度に終了予定であった研究課題であり,今後できるだけ早期に最終成果発表を行えるよう尽力する.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は2度目の補助事業期間延長となるため,引き続き論文執筆に注力し,国際学術誌への投稿を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度に引き続くコロナ禍の下,国内外学会・研究会等のオンライン開催が相次ぎ,研究課題の申請当初に想定していた旅費を執行できず,次年度繰越が生じた.他方,今回の次年度繰越額は少額であるため大きな支出は予定しておらず,文献購入やソフトやアプリのライセンス更新等に充当する.
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