研究課題/領域番号 |
17K18190
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
上 英明 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80779728)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | キューバ / アメリカ合衆国 / 米・キューバ関係 / 米州関係 / 国際関係史 / 冷戦史 / 移民研究 / ラテンアメリカ |
研究実績の概要 |
令和3年度においては、前年度から続く新型コロナウイルス感染危機の影響により、やはり海外渡航調査を延期せざるを得ず、米・キューバ関係に関する新たな公開資料を入手するという点では成果を上げることはできなかった。 一方で、このような状況下では、どうしてもこの感染危機が米・キューバ関係にもたらした影響を考えざるを得ず、冷戦期から続くキューバの白衣外交(国際医療支援)についての文献を読解した。これは近年の展開を踏まえた論考としてUP出版から共著の形で発表されている。 オンライン化が進んだ結果、様々なプラットフォームを通した研究の成果発表を行うこともできた。具体的には、延期が続いていた米国歴史学会OAHの発表が4月に無事に終わり、1980年のマリエル移民危機に伴う合衆国の移民問題についての知見をまとめることができた。また6月の米国外国史学会SHAFRでは、「移民」(Migration)部門担当者として、特別ラウンドテーブルの企画、司会を務め、米国移民史の代表的な研究者と直接外交と移民の連関について議論できたことは貴重な経験となった。 また、国内では8月に日本国際問題研究所で、12月に国際安全保障学会でそれぞれ安全保障問題の文脈で移民問題を考察する機会を得ることができ、報告と質疑応答を経て、この問題について学びを深めることができた。 全体的に遅れが生じているものの、柔軟に対応できたのではないかと考えている。再度の期間延長が承認されたことにより、今後もさらに論考を深め、発表することを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス危機の継続により、大幅な計画修正を迫られたため。
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今後の研究の推進方策 |
前年度と同様、海外調査が進まなかったため、予算を消化できず、1年の繰越延長が必要だと判断した。一方で、令和3年度は代替的な調査として、文献の購入などを積極的に進め、国外でも発表を行ったため、残っている予算は限られている。さらに、SHAFRやOAHへの参加経験を通じて、米・キューバ関係以外の分野において移民と外交を議論する動きが広がっており、こうした動向を追う必要も感じることになった。 こうした点を踏まえ、本研究の最終年度では無理に渡航調査にこだわらず、(1)文献調査による研究、(2)これまで入手した米・キューバ関係に関する史料の読解、(3)新たな論考の執筆や発表を中心に、研究成果を積み上げることを目指す。最終的に、学会発表や書評などのフィードバックを糧に、これまでの研究成果の総括を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染危機のため、当初予定していた渡航調査ができず、代わりに文献の購入や国外発表の経費などに充てたが、結果として予算を使い切ることはできなかった。次年度は、残りの金額を用い、引き続き文献調査を進めつつ、研究成果の報告に必要な経費に充て、最終年度としたい。
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