研究課題
本年は研究期間の最終年であり,前年にCOVID-19の影響から1年間の延長申請をしていた.全体的に進捗はやや遅れて進行していったが,本年をもって一定の成果を得られたためここに総括する.非特異的腰痛患者の体幹前傾保持時の腰痛発生には先行研究より腰背部筋群の血流障害が関わっていることが考えられており,本研究においても同様の現象を考察することができた.側方から脊柱を見ると,頸部と腰部は前弯位であり,胸部が後弯位を呈している.厚生労働省の調査においても頸部を含めた肩痛と腰痛は自覚症状で最も多い部位であり,ともに前弯位であることからもいくつかの共通要素が考えられる.そこで,慢性頸部痛を有する若年者の血流を異なる肢位で検証してみたところ,頸部屈曲運動では健常者よりも有意に血流が低下し,頸部伸展運動では有意に増加することを明らかにした.これらの変化は健常者に認められないものであり,頸部痛を有する場合には頸部運動に伴う頸部筋群の血流変化が大きいことが示唆された.この結果はすなわち持続的な頸部屈曲位を日常的に保持していることが背景として考えられ,結果として頸部筋群の持続的な筋収縮が強いられ,症状自覚に発展していくものと考えられた.なお,これらと同様の現象を慢性腰痛者でも確認しており,慢性頸部痛及び腰部痛の原因には骨格筋由来の要素があると示唆された.
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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