研究課題/領域番号 |
17K18207
|
研究機関 | 帝京科学大学 |
研究代表者 |
鳥山 実 帝京科学大学, 医療科学部, 助教 (10734551)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 膝関節 / 前十字靱帯 / 協調性 / 動作解析 |
研究実績の概要 |
本研究では3種類の関節運動の組み合わせにおける運動の協調性を定量化する新たな解析手法を開発し,健常者と前十字靱帯損傷者における運動の協調性の違いを検証すること,さらにその際の生体力学的な違いおよび筋活動の違いを検証することにより,前十字靱帯損傷に関する神経筋制御機構を解明し,新たな損傷予防プログラムを開発することを目的としている. 本年度は前年度に実施した2種類の関節運動の組み合わせに関する運動の協調性の定量化手法(Vector Coding法)を応用し,3種類の関節運動に対してVector Coding法を適応させる手法を開発し,運動の協調性となる新たな指標の作成および検証を行った.健常女性17名と前十字靱帯再建者7名を対象とし,両脚スクワット動作中の関節運動と筋活動を3次元動作解析システムと表面筋電計を用いて計測した.その結果,健常女性と前十字靱帯再建者の間に新たな指標での違いは見られなかった.そこで課題動作をより動的に不安定なもので検証するため,新たに16名の健常女性を対象として片脚でのスクワット動作を開眼条件,閉眼条件で計測し,解析を行った.股関節,膝関節,足関節における関節運動について,その中から3種類の関節運動の組み合わせを抽出し,前述の運動の協調性を求めて,閉眼条件と開眼条件で比較した.また,下肢6筋の筋活動量を計測し,同様に閉眼条件と開眼条件で比較した.その結果,閉眼条件で股関節屈曲-膝関節屈曲-膝関節内反の関節運動における運動の協調性が,開眼条件と異なるパターンを示すことが明らかとなった.また筋活動についても開眼条件と閉眼条件で異なる活動パターンを示し,特に股関節周囲筋で違いが大きいことが明らかとなった.これらのことから,今回開発した手法がより動的不安定性の大きい動作では運動の協調性の違いを反映しやすいことが示唆された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
解析モデルの作成は順調に進んでおり,計測データの解析と検証を継続して行っているが,安定性の高い動作では健常者と前十字靱帯再建者では差が認められなかったため,当初予定していた課題動作を変更する必要が生じた.そのため,追加データの計測並びに解析がやや遅れている.また前十字靱帯損傷者のリクルートが当初の予定より不足しており,データの計測がやや遅れている.
|
今後の研究の推進方策 |
前年度から所属が変更となったため,計測環境を所属機関ではなく研究協力機関に変更して研究を遂行していく.まず機器の整備と検証を行い,また当該施設における倫理申請も同時に進めていく.前年度は当初の予定より前十字靱帯損傷者のリクルートが少なかったため,今後は協力機関に研究協力を仰ぎながら,前十字靱帯損傷者の計測を行っていく.さらにこれまでに得られた成果を元に学会発表並びに論文執筆を行い,広く研究成果を公表していく予定である.
|