研究課題/領域番号 |
17K18221
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
小林 純子 南山大学, 外国語学部, 准教授 (00611534)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | パートナーシップ / フランス / 文化政策 / 子ども / 放課後 |
研究実績の概要 |
すべての子どもに文化実践への機会を保障しようとするフランスの文化省と教育省のパートナーシップにもとづくプロジェクトの分析と、平成30年にフランス文化省で行ったインタビューの分析を行った。学校を通じた全国的なプロジェクトの普及力と規模の大きさを明らかにしたことで、フォーマルな教育空間としての学校での活動と知識が、授業ではない放課後の活動や余暇的な活動などノンフォーマルな教育空間での活動とどのように違うのかをあらためて浮かび上がらせることができた。 また令和2年度に引き続き、子どものスポーツの時間と空間を分析し、関係者への聞き取りを行ったことで、学校、余暇、その中間の放課後や教育的な時間のそれぞれがどのように形成され、どのような大人が関与し、どのような制約を持つのか、その論理と特徴を明らかにすることができた。具体的には、フランスの格闘系のスポーツが学校体育に取り入れられるプロセスを分析することを通じて、スポーツが現代の学校において教育的な正統性をもつには、能力や性別に関わりなく全ての子どもがアクセスできる実践や形式であることが求められることが分かった。しかし活動によっては、学校では平等な普及が期待できないこともあり、学校が関与しない余暇や自由な時間に行われるスポーツの時間が果たす役割も大きいことが明らかになった。このことは、学校以外の時間や授業ではない放課後の時間の芸術文化活動にとっても示唆的であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍においてオンラインや電子媒体を通じて国内外の隣接領域の研究者やインフォーマントとの交流を継続できたが、芸術文化教育にたずさわる職業人らに行ったインタビューの分析になお遅れが生じているため。
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今後の研究の推進方策 |
芸術文化教育にたずさわる職業人へのインタビューの分析をさらに進める。これまでに行った教育的余暇の時間と空間を学校や家庭の時間との比較、そこで行われる芸術文化活動の特徴、そこに関与する大人と子どもの相互作用をまとめ、モダニティの中の子どもの位置づけと社会化を考察しつつ、社会的格差の観点から、フランスの教育的余暇の可能性と課題の全体像を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で計画通りに出張を行うことができず旅費を使用できなかったため。令和4年度の計画として、国外への出張が可能になった段階で現地調査を実施する予定である。
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