研究実績の概要 |
本研究では中枢移行性が高い酸性アミノ酸鎖を付加したβグルクロニダーゼ(GUS)によるコンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CSPG)の分解能力を利用し、ALS性神経障害の治療法の確立を目的としている。 本研究では初年度にマウス脊髄由来神経芽細胞種であるNeuro-2a細胞株において、CSPG条件下での細胞体の減少を5,000U/gのNative型GUS投与によって抑制することを観察した。また、CSPG条件下のマウス大脳皮質由来初代培養神経細胞においてGUS投与を行うと神経細胞特異的マーカーであるMAP-2の増加と軸索様形態を観察した。しかしながら、3年目ではラット大脳皮質由来初代培養神経細胞では5000 U/gのGUS適用だと細胞死が惹起されたため、4年目でGUS濃度を500 U/gに減量することにより、有意ではないが細胞体の減少抑制することができた。これをふまえ、1000 U/g ,500 U/g,250 U/g濃度のGUSを前臨床試験使用に使用した。一方で、2年目にNative型GUSの組織移行性について検討した。250 U/mL(10000 U/g)のNative型GUSをマウス尾静脈投与し投与後20分後の大脳皮質と脊髄を摘出し、GUSの酵素活性を検討したところ、平常時よりも大脳皮質において2倍、脊髄で2.5倍の酵素活性を観察している。以上の実験はGUS酵素精製に難航していたため、MP Biomedicals,IncのGUS溶液を使用して行った。5年目に、これまで使用してきたGUS溶液を使用し、前臨床試験を行った。1000 U/g ,500 U/gそして250 U/gのGUSを野生型マウス尾静脈に投与したところ1週間以内に死亡したため、精製予定酵素のNative型の粉末を別途購入し病態モデルマウスを使用した前臨床試験を行うための投与濃度の検討を行っている。
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