本研究の目的は、主要自動車生産国における自動車燃費規制に関する政策波及と自動車燃費規制値に関する収斂過程の動態とその影響について、新興国(インド・中国)の自動車燃費規制を事例に実証研究を行うことである。2019年度に、政策波及と収斂過程のメカニズムの整理、及びインドと中国における自動車燃費 規制をめぐる政策波及と収斂過程の解明について論文をまとめ、それを編著としてRoutledgeから出版することで当初の目的は概ね達成できた。 2020年度には、インド及び中国における自動車燃費規制をめぐる政策波及のメカニズムの解明について、さらなる分析の視点を得るべく、両国の自動車燃費規制 に強い影響を及ぼしたEUの規範及び物質的パワーに関する追加調査を、文献調査を主軸として行い、2つの政策波及のメカニズムに分類を試みた。 1.強制的なメカニズム(大国や他国の巨大市場からのプレッシャーにより、他国の政策を取り入れざるをえなくなる場合) 2.自主的なメカニズム(自国の問題を解決するために他国の政策を自主的に取り入れるような場合) 2021年度は、過年度に構築した当該分野の研究者とのネットワークを活用しながら、意見交換を通じて、2020年度に構築した政策波及のメカニズムと行為主体との連関に関する分析枠組みの有効性等についてさらなる検証を行た。具体的には、それぞれのメカニズムに対して、どのような行為主体(国際機関、国家、企 業、NGO/NPO、科学者など)が深く関わっているのかを整理することで、EUの環境規制が他国の環境規制に与えた政策波及のメカニズムと行為主体との連関に関する分析枠組みの構築を行った。 2022年度は、2021年度に引き続き、過年度に構築した当該分野の研究者とのネットワークを活用しながら、意見交換を通じて、2020年度に構築した政策波及のメ カニズムと行為主体との連関に関する分析枠組みの有効性等についてさらなる検証を行った。
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