研究課題/領域番号 |
17K18233
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
山口 航 帝京大学, 法学部, 助教 (90735317)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | マイク・マンスフィールド / 駐日米国大使 / 日米関係 |
研究実績の概要 |
本研究は、日米関係におけるマイク・マンスフィールド駐日米国大使の役割について、資料に基づき実証的に明らかにすることを目的としている。そうすることによって、米国の政策決定過程における駐日米国大使の役割や、政治・安全保障と経済・社会問題のリンクの実態を解明し、冷戦終焉期における重層的な日米関係像を提示することを目指している。 平成29年度は、マイク・マンスフィールド駐日米国大使に直接的に関係するもののみならず、日米関係全体に関する先行研究を収集し、そのレビューを包括的に行った。その上で、日米関係研究の再評価を試みて、日米関係の構造的背景を把握することに努めた。そして、アーカイバル・リサーチ、および関係者への聞き取り調査等を実施した。米国においては、政治・安全保障面でマンスフィールドがどのような影響力を持ったのかに関する資料、ならびに米国政府の対日政策決定過程に関する資料などを収集し、分析を進めていった。さらに、マンスフィールドやその役割について他国(とくに日本)がどのような認識を抱いていたのか、米国の動きを他国はどのように見ていたのかに関する資料、また、政策決定過程を補完的に浮き彫りにできるような関連する資料も幅広く収集することに努め、分析をしていった。 この成果の一部は、山口航「日米同盟をめぐる対立軸」佐藤史郎・川名晋史・上野友也・齊藤孝祐編『日本外交の論点』法律文化社、2018年、6-15頁として、公刊した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は、日米関係全体の研究のレビューを実施するとともに、マンスフィールドが駐日大使に着任するまでの対日観と、カーター政権期(1977~81年)の対日政策形成過程におけるマンスフィールドの役割に注目しながら調査を重ねていった。 日米関係をより多角的な観点から考察し資料を補完するために、米国国立公文書館、米国カーター大統領図書館、外務省外交史料館などで、アーカイバル・リサーチを実施し、資料の収集に努めた。このように研究を遂行し、各国の資料の収集・分析を着実に進めているため、「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き文献のレビューや資料調査、聞き取り調査を積み重ねていく。平成30年度は、とくに、レーガン政権第1期目(1981~85年)におけるマンスフィールドの役割を中心に考察していく。とくに対日政策の形成期に重点を置く。マンスフィールドは、いかにして、そしてどの程度対日政策形成に影響力を発揮したのかに迫りつつ、日米関係を包括的に論じていく。具体的には、米国国立公文書館や外務省外交史料館などで資料調査を実施することを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
未使用額が生じた大きな理由としては、申請者の所属機関の変更がある。たとえば、研究を計画した段階では、申請者が京都の大学に所属していたため、東京での資料調査、インタビュー調査等の旅費を計上していた。しかし、採択・研究開始時には、東京の大学に籍を移していたため、東京への旅費が不要になった。このように、研究の遂行には支障を来さないものの、使用額等について当初の計画から若干の変更をする必要が生じた。 本年度の未使用額は、次年度以降に、研究の精度を上げるために国内外の資料調査、インタビュー調査を計画時以上に多く行い使用していくことを計画している。
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