研究実績の概要 |
本研究は、マンスフィールド(Michael Joseph Mansfield)駐日米国大使の役割という観点から、資料に基づき実証的に、そのメカニズムや因果関係を明らかにするものである。そうすることによって、米国の政策決定過程における駐日米国大使の役割や、政治・安全保障と経済・社会のリンクの実態を解明し、冷戦終焉期における重層的な日米関係像を提示するよう努めた。日米政府の機密解除文書の分析に基づく実証的、外交史的アプローチを採用し、新資料の発掘、新事実・新解釈の提示を目指した。 新型コロナウイルス感染症の蔓延による影響を受け、国内外での移動の自由などが制限されていたため、本研究には遅れが生じていた。だが、しだいに制約が緩んでいったため、米国国立公文書館などでの資料調査も実施することができるようになり、順調に研究を遂行することができた。 最終年度となった今年度は、ジミー・カーター(Jimmy Carter, Jr.)政権期とロナルド・レーガン(Ronald Wilson Reagan)政権期のマンスフィールドの役割を包括的に論じ、その意義とその限界を明らかにしつつ、米国の政策決定過程における駐日米国大使や大使館の役割を考察し、冷戦終焉期における日米関係を包括的に捉え直していった。 この成果の一部は、単著『冷戦終焉期の日米関係――分化する総合安全保障』(吉川弘文館、2023年)や「日米摩擦激化の時代――1980年代の日米関係」畠山圭一編『テキスト日米関係論――比較・歴史・現状』(ミネルヴァ書房、2022年)などとして公刊することができた。
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