研究課題
若手研究(B)
本研究の目的は、動物の群れがみせる中枢システムがないまま自律的なうごきをみせる巨大な群体に潜むメカニズムを明らかにすることである。その理論的モデル研究の成果を海外研究誌に発表し、国内の学会においても複数件の研究報告をおこなった。また、当初の計画には含まれていなかったが、「動物の心に関する定義」を共同研究者らとともに提案し、発表を行った。「動物に心はあるのか?」という問いは、「動物の群れに意識があるのか?」という問いと本質的に同じであると考え、議論した。
動物行動学
本研究が提案した群れの理論モデルは、本来相容れない「平均化相互作用」と「個体間相互作用」を両立し、群れ内部の高速情報伝搬を可能とした。そして、現実の動物の群れにおけるダイナミックな旋回運動を理論的にはじめて説明することに成功した。この結果は、当該分野において貢献は非常に大きいと考えるが、発表しばらくして海外の研究者からコンタクトをもらうなど大きな反応をもらえた。また、本研究がきっかけとなり、「動物の心」に関する哲学的議論につなげることができ、分野をこえた共同研究ができたことは意義深い。