研究課題/領域番号 |
17K18238
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
宮内 肇 立命館大学, 文学部, 准教授 (10722762)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 宗族 / 広東省 / 1930年代 |
研究実績の概要 |
本研究は、近代中国における宗族が自己の存続のために、いかに思案し変革しようとしたのかという関心に基づき、1930年代の広東省に焦点をさだめ、広東省政府の宗族に対する認識や扱い方、および同時期の宗族の形態と自己意識を解明することを目的とするものである。本研究の第1年目となる2017年度は、以下2点の作業を行った。 まず、本研究全体に共通する史料となる新聞・雑誌史料の収集を行った。具体的には、2回の訪中調査を実施した(1回目は2017年9月中旬。2回目は同年12月下旬)。調査機関は、(1)広東省立中山図書館(広東省広州市)、(2)五邑大学広東僑郷文化研究中心(広東省江門市)である。(1)では、1930年代に広東省内で発行された新聞・雑誌の閲覧(写真撮影)、(2)では、同大学の王伝武先生の協力を得て、宗族組織が発行していた族刊雑誌の閲覧(写真撮影)を行った。 次に、(1)上記の調査機関にて収集した新聞・雑誌、(2)本研究開始以前に収集していた史料、(3)今年度、新たに購入した刊行史料『近代華僑報刊大系』(全25冊、広東経済出版社、2016年)から、本研究に関係する記事の抽出を行い、目録として整理する作業を行った。具体的には、(A)広東省政府の地域社会・基層社会の統治に関する法令、(B)広東省内の地域社会の治安に関する報道、(C)広東省政府が実施した地方自治政策とその地域社会におけるさまざまな反応・行動に関する報道、(D)宗族の活動および、宗族が関係しているであろう事件(例えば、宗族間の闘争や宗族内部のトラブルなど)の報道・評論記事の抽出し、その上で、抽出した記事の題目・掲載新聞/雑誌名称・掲載年月日・記事内容のキーワード等をExcel上に入力し、さらに時系列に並べなおす作業を行い、5,382件の記事目録を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1930年代に広東省内で発行されていた新聞・雑誌が、予想を超える分量であったために、2017年度は史料収集および整理を行うのみにとどまった。しかし、作成した記事目録は、詳細かつ網羅的なものであり、本研究を継続する上で十分に価値あるものとなった。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は、上述の記事目録にそって、あらためて収集した史料を丹念に読み込み、1930年代の広東社会の実態を把握するとともに、同時期の宗族をめぐる動き(為政者・政府の宗族に対する政策と宗族自身の反応・行動)を考察していくことになる。 また、史料の読解・分析過程において、さらなる現地での史料収集が必要となるであろうし、史料上の現場を巡見する必要も生まれてこよう。巡見を通じて現地に残された民間史料や現地での聞き取り調査(とくに宗族結合の有り様)も実施していきたい。 さらに、2018年度中には、本研究の進捗状況を整理し、学会での研究報告も計画している。
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