研究課題/領域番号 |
17K18238
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
宮内 肇 立命館大学, 文学部, 准教授 (10722762)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 信宜県 / 宗族 / 革命 |
研究実績の概要 |
本研究は、近代中国における宗族の持続性を解明することを目的にとしている。 2020年度は、本研究の最終年度であったが、新型コロナウイルスの感染拡大にともなう海外調査の中止や、勤務先での業務の対応に時間を割かなければならない状況が続き、本研究を進めることが一時的に困難な状況となり、本研究の研究期間を1年間延長することにした。 そうしたなかで、2020年度は、以下の研究を進めることができた。 宗族結合と革命運動の関係について、広東省西部に位置する信宜県の有力宗族である(信宜)水口陸姓をとりあげ、該族の青年が、清末民初期の革命運動に、いかなる関わりを持ったのかを解明した。陸姓の青年は、郷里での近代教育を通じて革命思想に触れ、革命運動に参加していく。そのなかで彼らは、族人の犠牲を払いつつ、1920年代半ばに省都広州に成立した革命政権内に職を得て、その後、広州在住の同族・同郷とともに、軍閥に占拠されていた郷里の危機を訴え、革命政権に討伐軍を派遣させ、郷里の安寧を実現する。 これまで、伝統的な祖先祭祀や家族意識といった伝統的な宗族結合は、自由・平等を求める革命運動において、否定的に理解されてきたが、宗族の視点から革命を見た本研究からは、宗族結合と革命運動とのあいだに親和性が看取できるのである。この点は、近代中国における宗族の持続性という本研究課題に対する新たな視点・理解を提示できたのではないだろうか。他方、こうした理解が、当時の社会において一般的に見られたことなのか、また、革命組織や政権にとって、こうした宗族結合はどのように映り、理解をしていたのかについて、あらためて考えなければならない課題も生まれた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度は、新型コロナウイルスの感染拡大にともなう海外調査の中止や勤務先での業務の対応に時間を割かなければならない状況が続き、本研究を進めることが困難な状況にあった。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は、2020年度に完成できなかった(1)広東省政府の宗族に対する認識や扱い方、(2)同時期の宗族の形態と自己意識の解明をすべく、1930年代の広東省を統治した陳済棠政権による広東固有文化の創設と明徳社の組織に着目する。この明徳社の実態解明を通じて、広東省政府・広東省社会において、宗族意識がいかなる存在であったのかを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、新型コロナウイルスの感染拡大にともなう海外調査の中止や、勤務先での業務の対応に時間を割かなければならない状況が続いたために、本来の計画を進めることができなかった。 次年度の使用計画については、現時点において海外での史料調査の目処は立っておらず、主には文献資料の購入に使用したい。
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