研究課題/領域番号 |
17K18239
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
川村 仁子 立命館大学, 国際関係学部, 准教授 (40632716)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ナノテクノロジー / 先端科学・技術ガバナンス / トランスナショナル・ガバナンス / 官民連携 / 国際秩序 / 非国家主体 / EU / 国際関係論 |
研究実績の概要 |
2017年度は本研究の初年度に当たる。前半期は、ナノテクノロジーそのものへの理解や、ナノテクノロジーに関する国内政策、EUなどの地域機構の政策、国際的政策、および、法規範(国内法、EUなどの地域的な国際法、国際法、民間の自主規制)、判例などの資料を収集した。また、ナノテクノロジーのガバナンスに関する先行研究の論文・書籍を収集した。 後半期は、2013年度からの科研費若手研究B「非国家主体の自主規制による国際法規範の重層化に関する研究:科学・技術管理を事例に」(25870781)と連携させることによって、積極的な官民連携による先端科学・技術ガバナンスに取り組んでいるヨーロッパの研究者からの情報収集および研究機関とのネットワークの構築と、本研究の成果の公表を行った。 10月12日には、トゥールーズ第1大学のAlexandra Mendoza-Caminade教授を招聘し、立命館大学で"Advanced Technology and IR"という国際シンポジウムを開催した。また、10月28日には龍谷大学社会科学研究所アフリカ研究センター研究会に招聘され、方法論研究の成果を報告した。加えて、11月4日に慶応義塾大学で開催された第118回憲法学会において、本研究の成果として「ロボットをめぐる国際的なガバナンス: EUを事例として」という研究報告を行った。2018年2月15に東京で開催されたnano tech 2018に参加し、企業や研究所、日欧産業協力センターなどの資料を収集した。 初年度の成果をまとめた、「AIロボットをめぐるグローバル・ガバナンスの現状と今後の展望:EUを事例として」が、2018年6月に発行予定の『憲法研究』第50号に掲載される。さらには、2018年度秋に、研究協力者である龍澤邦彦立命館大学教授とともに、本研究の成果を『国際秩序論』(晃洋書房)で公表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、おおむね順調に進展している。2017年度は特に、先端科学・技術分野の官民連携(Public Private Pertnership)をテーマに、問題関心を共有するヨーロッパの研究者との国際的ネットワークを形成することができた。また、本研究に関わる資料で、インターネットや日本国内で入手できるものを収集することができた。 当初の研究計画では、国内では手に入らない資料の収集や研究ネットワークの構築のために、夏をめどにヨーロッパでの調査を実施する予定であった。しかし、今年度は急遽、ヨーロッパの研究者を日本に招聘することになったため、ヨーロッパへの調査は来年度に延期した。2018年度に国内外のナノテクノロジー・プラットフォームに参加する主要研究機関、国際商業会議所(フランス)、ヨーロッパの先端科学・技術系学会、関連企業、担当省庁を訪問し、先端科学・技術分野の官民連携に関する資料や、これまで非国家主体がEUや国連などの国際機構、およびサミットなどの国際会議で行なってきた意見具申・政策提言の一次資料などを入手する予定である。 また、2017年度の方法論研究の成果は、10月28日に龍谷大学社会科学研究所アフリカ研究センター研究会において報告した。加えて、その他の研究内容に関しては、11月4日に慶応義塾大学で開催された第118回憲法学会における「ロボットをめぐる国際的なガバナンス: EUを事例として」という報告のなかで公表した。さらに2017年度の研究をまとめた論文「AIロボットをめぐるグローバル・ガバナンスの現状と今後の展望:EUを事例として」が、2018年6月に発行予定の『憲法研究』第50号に掲載される。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の成果を展開すべく、宇宙開発分野ですでに行われている官民連携を評価し、成功・失敗の条件を抽出する。また、公的規範や非国家主体による自主規制といった重層的な規範に基づくガバナンスを試みているEUの先端科学・技術分野のガバナンスを事例に、国際制度的側面から官民連携について検討する。 加えて、秋をめどにヨーロッパの関連機関(欧州委員会、欧州保険局、欧州議会科学・技術オプションアセスメント委員会)を訪問する予定である。バイオテクノロジーやナノテクノロジー戦略を中心とした先端・科学技術の管理に関する文献・資料を収集し、制度的側面から非国家主体による自主規制の「国際法規範性」ついて検証する。 前年同様、成果はシンポジウム、国内外での学会報告ならびに、雑誌投稿を通して公表する。海外での資料収集が計画通りに進まない場合は、国内の訪問機関を増やし、資料収集を試みる。成果は、関連国際シンポジウムにおいて報告するほか、学会報告(日、米、欧州の国際政治学会、ならびに日本国際政治学会、憲法学会を中心に)、学内外の雑誌投稿(日本語は『立命館国際研究』、『立命館人文科学研究所紀要』、『憲法研究』など、英語はGlobal Constitutionalism(Cambridge University), Ritsumeikan Intern ational Affairs, Afrasian Working Paper Seriesなど )を通して公表する。さらには、2018年度秋に、研究協力者である龍澤邦彦立命館大学教授とともに、本研究の成果を『国際秩序論』(晃洋書房)で公表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画では、国内では手に入らない資料の収集や研究ネットワークの構築のために、2017年の夏にヨーロッパでの調査を実施する予定であった。しかし、2017年度内に、急遽ヨーロッパの研究者を日本に招聘する機会が訪れたため、ヨーロッパへの調査は来年度に延期した。また、招聘者の旅費・その他は他の研究機関から支払われ、国際シンポジウムの実質的負担は謝金および会議のさいの費用のみとなったため、次年度使用額が生じた。 使用計画としては、2018年度秋をめどに、ヨーロッパへ調査に行くさいの経費とする予定である。国際商業会議所(フランス)、ヨーロッパの先端科学・技術系学会、関連企業、担当省庁を訪問し、先端科学・技術分野の官民連携に関する資料や、これまで非国家主体がEUや国連などの国際機構、およびサミットなどの国際会議で行なってきた意見具申・政策提言の一次資料などを入手する。そのさい、研究協力者らとともに現地で研究会あるいは国際シンポジウムを開催する予定である。
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