研究課題/領域番号 |
17K18239
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
川村 仁子 立命館大学, 国際関係学部, 准教授 (40632716)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 先端科学・技術 / トランスナショナル・ガバナンス / グローバル・ガバナンス / 官民パートナーシップ / ナノテクノロジー / AI / バイオテクノロジー / 国際秩序 |
研究実績の概要 |
前半では、非国家主体を中心とした官民パートナーシップ(Public Private Partnership)に基づくトランスナショナル・ガバナンスが、ナノテクノロジーのガバナンスにおいても適しているか否かを検討するために、すでに官民パートナーシップを法制度化しているEUにおけるナノテクノロジー分野の関連の資料収集を中心に研究を実施した。特に「ナノテクノロジーのリスクに対する10年計画」に関わる資料とナノテクノロジーやAIなどの研究機関や民間企業の自主規制に関する資料を収集した。後半からは、収集した資料の分析を行いつつ、研究協力者でもある龍澤邦彦立命館大学名誉教授との共著『国際秩序論』(晃洋書房)を出版する準備をしており、そこで本研究の成果を公表する予定である。また、分担執筆として参加する山下範久立命館大学教授企画の『よくわかるグローバリゼーション論』(ミネルヴァ書房)、松下冽立命館大学名誉教授企画の『グローバル化する新自由主義の暴力的表層と深層』(ミネルヴァ書房)でも、本研究の成果を公表するため、現在も原稿の執筆を行っている。加えて、12月には分野は異なるが、本研究のトランスナショナル・ガバナンスに関する研究成果を基に、立命館大学土曜講座において「オリンピック・パラリンピックを支えるグローバル・スポーツ法」の公演を行った。 秋には先端科学・技術のガバナンスと知的財産の管理をテーマとする国際シンポジウムを主催し、日中欧の専門家間で研究報告とディスカッションを行うことを企画していたが、招聘者の体調不良により2020年3月に延期となった。COVID-19感染拡大のため、再び専門家を招聘することができなくなったため、状況が改善した後に改めて開催する予定である。また、2020年2月にヨーロッパの関連機関での資料収集を予定していたが、COVID-19感染拡大のため来年度以降に延期した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度は、非国家主体を中心とした官民パートナーシップ(Public Private Partnership)に基づくトランスナショナル・ガバナンスが、ナノテクノロジーのガバナンスにおいても適しているか否かを検討するための多くの資料が収集でき、現在も分析を続けている。 しかし、2019年度秋に本研究プロジェクトが主催する予定であった、先端科学・技術のガバナンスと知的財産の管理をテーマとする国際シンポジウムが、招聘者の体調不良およびCOVID-19感染拡大のため、ヨーロッパと中国から専門家を招聘することができなくなったことにより、COVID-19の状況が改善した後(おそらく2020年度以降)に延期することになった。また、2018年度夏から延期になっていた、ヨーロッパの関連機関(欧州委員会、欧州保険局、欧州議会科学・技術オプションアセスメント委員会など)での資料収集を2020年2月に予定していたが、こちらもCOVID-19感染拡大のために来年度以降に延期した。現時点では、来年度も開催可能かどうか未定であるため、国内の学会や研究会での研究者らとの討議を通じて、本研究の方向性を随時修正することで、研究の行き詰まりを回避することを試みる。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は本研究プロジェクトの最終年度である。これまでの考察をもとに、非国家主体を中心とした官民パートナーシップに基づく先端科学・技術分野、特にナノテクノロジー分野のトランスナショナル・ガバナンスのモデルを構築し、他分野への応用の可能性を模索する。まず、2020年度の前半では、引き続き2019年度に収集した資料の分析を行いつつ、研究協力者でもある龍澤邦彦立命館大学名誉教授との共著『国際秩序論』(晃洋書房)の出版を目指す。その中で、これまでの本研究の成果を公表する予定である。また、後半では、2020年秋の日本国際政治学会の分科会(福岡工業大学渡邉智明准教授企画「グローバル・リスクをめぐるガバナンス」)において、「先端科学・技術のグローバル・ガヴァナンス:開発とリスク管理の観点から」と題する報告を行い、本研究の成果を報告する予定である。 COVID-19の状況が改善した後は、2019年度秋に予定していた先端科学・技術のガバナンスと知的財産の管理をテーマとする国際シンポジウムを主催し、ナノテクノロジーのガバナンスに関する研究成果の報告と、ヨーロッパおよび中国から専門家を招聘してそれぞれ報告を行ってもらい、日中欧の専門家間でディスカッションを行いたい。また、2018年度夏から延期になっている、ヨーロッパの関連機関での資料収集を2020年秋あるいは2020年春に実施したい。 現在、ミネルヴァ書房より「先端科学・技術と社会」をテーマとしたシリーズを出版する企画を準備中であり、そこでも改めて本研究の成果を公表する予定である。本研究において構築した国内外の研究者ネットワークに出版企画への参加を呼びかけ、先端科学・技術と社会の関係について考察する体系的な研究成果の公表となることを目指す。刊行準備に際しては、科学研究費助成金・研究成果公開促進費へ応募する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度の当初の研究計画では、秋に先端科学・技術のガバナンスと知的財産の管理をテーマとする国際シンポジウムを主催する予定であったが、招聘者の体調不良およびCOVID-19感染拡大のため、2019年度内にはヨーロッパおよび中国から専門家を招聘することができなくなったことにより、COVID-19の状況が改善した後(おそらく2020年度以降)に延期することになった。また、2018年度夏から延期になっていた、ヨーロッパの関連機関(欧州委員会、欧州保険局、欧州議会科学・技術オプションアセスメント委員会など)での資料収集を2020年2月予定していたが、こちらもCOVID-19感染拡大のために来年度以降に延期した。以上の理由より、次年度使用が生じた。 使用計画としては、COVID-19の状況が改善した後は、上記の国際シンポジウムの主催およびヨーロッパでの調査の実施を予定している。特に、国際シンポジウムは本研究の成果をまとめて報告する機会であり、その後の出版計画にも重要であるため、2020年度の開催が困難であれば、本研究プロジェクトを1年延長することを考えている。また、その場合、2020年度では国内での資料収集や、学会および研究会での研究者らとの討議を通じて、本研究の方向性を随時修正し、研究の行き詰まりを回避するために、本研究費を使用する。
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