研究課題/領域番号 |
17K18241
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
佐藤 量 立命館大学, 文学部, 非常勤講師 (20587753)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 満洲移民 / 満洲引揚者 / 戦後日本 / 生活再建 / 地域定着 / 記憶 / 継承 / 二世 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、満洲引揚者関連の資料収集と関係者へのインタビュー調査を積極的に行った。おもに1950年代の引揚援護庁による活動内容や引揚者への生活補償のあり方を調査し、戦後社会における引揚者の位置づけについて分析した。 戦後社会における「引揚げ」のイメージは、苦労に満ちた逃避行の体験として中心的に語られがちである一方で、帰還後の生活や地域社会に根付いていく過程までを含んだ出来事としては想起されにくい。実際には、引揚港での検疫、日本各地の引揚者住宅への転居、再就職先の斡旋や再入植地の決定、未帰還者の帰還促進運動など、1950年代に入っても引揚者をめぐる諸問題は継続しており、それらは引揚援護庁の関係資料に詳述されている。しかしそうした諸問題は、「国民的な歴史」として戦後社会では共有されず、むしろ単純化され多くの部分は忘却されていった。 これらの調査内容および資料分析の一端は、佐藤量「引揚者の生活再建と戦後社会:『引揚援護の記録』の写真資料から」(『写真記録「満洲」生活の記憶』戦前・戦中期アジア研究資料 写真記録1、近現代資料刊行会、75-85頁、2018年)にまとめた。 このほか、今年度は3名の満洲引揚者に対してインタビュー調査を行い、それぞれ1回につき2時間ほどのインタビューを複数回実施した。インタビュー内容は、満洲に渡った経緯、満洲での生活内容、終戦・引揚げ時の体験、引揚げ後の生活再建と地域定着などを、時系列に沿って聞き取っていく手法である。一人につき6~8回程度聞き取りを行うことを予定しているため、次年度にかけて継続的に実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料調査およびインタビュー調査ともに継続的に実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き資料調査およびインタビュー調査を継続する。とりわけ次年度は、1950年代から1960年代にかけての引揚援護活動および引揚者の地域定着のあり方について調査・分析を進める。
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