研究課題/領域番号 |
17K18241
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
佐藤 量 立命館大学, 先端総合学術研究科, 非常勤講師 (20587753)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 満洲引揚者 / 戦後日本 / 生活再建 / 地域定着 / 記憶 / 会報 / 女性 / オーラルヒストリー |
研究実績の概要 |
2018年度は、①引揚者への聞き取り調査、②引揚者が帰還後に編纂した会報の収集、とりわけ女学生の引揚げと生活再建に関する資料収集・分析を中心に研究を行なった。 ①引揚者への聞き取り調査では、東京および京都在住の2名の引揚者(それぞれ公主嶺と大連から引揚げ)に対してインタビューを行なった。また2018年8月には、インフォーマントが戦前暮らした公主嶺(中国吉林省四平市)を訪問し、公主嶺小学校や公主嶺駅、旧日本人住宅など戦前の建造物が利用・保存される現状を調査した。この調査結果を踏まえて、佐藤量「満洲における日本人住居と生活空間」(マイグレーション研究会3月例会、阪南大学、2019年3月2日)として報告した。 ②引揚げ関連資料の収集・分析としては、前年度から聞き取りを継続している引揚者の出身校である、大連弥生高等女学校の同窓会誌『弥生会々報』を中心的に収集し、女学生たちの満洲記憶と生活再建のあり方について分析した。『弥生会々報』は、第1号(1965年)から第46号(2012年)まで刊行された同窓会誌である。 本会報の分析から、女学生の引揚げと生活再建の過程では、満洲と日本内地での家族状況の違いが大きく影響し、日本内地の封建的な生活環境に適応することに苦悩する女学生が、家族や地域社会から周縁化されるケースが散見されることが明らかになった。 これらの研究成果の一部は、佐藤量「満洲における学校教育と同窓会ネットワーク」(アジア教育史学会第27回年次大会、中央大学、2018年8月6日)や、佐藤量「戦後日本のなかの引揚者:満洲の記憶と想起をめぐって」(梅村卓・大野大幹・泉谷陽子編『アジア遊学 満洲の戦後 継承・再生・新生の地域史』勉誠出版、2018年、54-60頁)としてまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料調査およびインタビュー調査ともに継続的に実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も引き続き資料調査およびインタビュー調査を継続する。とりわけ、1960年代から1970年代にかけての女学生の生活再建と地域定着のあり方について調査、研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の研究費は、執行計画に基づいて当初の計画通りに執行してきたが、購入予定だった引揚げ関連書籍(古書)の価格が高騰したことにより購入できなくなったため、次年度の研究費に繰り越した。
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