• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実績報告書

戦後日本におけるアブノーマルなセクシュアリティと近代化/反近代化論

研究課題

研究課題/領域番号 17K18242
研究機関福岡女子大学

研究代表者

河原 梓水  福岡女子大学, 国際文理学部, 講師 (70726017)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード奇譚クラブ / サドマゾヒズム / SM / BDSM / クィア / セクシュアリティ / サディズム / マゾヒズム
研究実績の概要

本年は、引き続き新型コロナウィルスにかかる移動の制限等によって、十分な資料調査を実施することができなかった。
制約のある状況ではあったが、招待講演を1回行い、論文1本を執筆したほか、オンラインでアウトリーチ活動を開始した。
本年は、昨年度までに実施したドイツでのフィールドワークを踏まえ、欧米圏のBDSM文化と日本の文化を比較検討し、その差異を歴史的に位置づけた。すなわち、欧米では、サドマゾヒズムは病理的なイメージが強く、早期から脱病理化を目指す当事者運動が展開された。しかし日本では、サドマゾヒズムは早々にSMとして大衆化し、事実上の脱病理化を果たしたことで、欧米のような活発な当事者運動は起きていない。このような歴史的文脈の相違は、現代における双方SM/BDSM文化に大きな相違をもたらしている。欧米では、病理化による社会的不利益や偏見に抗するため、BDSMの実践にあたって、安全性や同意、実践者の自律性を強調する議論が展開し、多くの当事者組織が実践におけるガイドラインやマナーを明文化している。これらの議論は防御言説として展開したため、社会的寛容を勝ち取るために不都合なタイプの当事者を不可視化しているという問題がある。
病理化に対する抵抗運動が起こらなかった日本では、大規模な当事者組織も成立しておらず、ガイドラインの明文化も大規模なものはほとんど行われていない。むしろ日本では、SMクラブやバーなどで働くプロの女性たちや、プロの緊縛師などが、実践を通じて同意や安全性に関する知見を積み重ねてきたといえる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 現代日本のSMクラブにおける「暴力的」な実践:女王様とマゾヒストの完全奴隷プレイをめぐって2021

    • 著者名/発表者名
      河原梓水
    • 雑誌名

      臨床哲学ニューズレター

      巻: 3 ページ: 148-171

    • DOI

      10.18910/79260

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 日本の商業BDSMと「真のSM」の追求2020

    • 著者名/発表者名
      河原梓水
    • 学会等名
      第2回 臨床哲学フォーラム(シリーズ:規範の外の生と知恵)「BDSMをめぐる生の営み:ケアとは何か?」
    • 招待講演
  • [備考] 京大・緊縛シンポの研究不正と学術的問題を告発します

    • URL

      https://note.com/azumi_xx/m/mb2dd7ff4eb0a

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi