研究課題/領域番号 |
17K18243
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
瀬尾 昌孝 立命館大学, 情報理工学部, 講師 (60725943)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 顔面神経麻痺 / 統計解析 / Deeplearning / 認識 / 生成 |
研究実績の概要 |
三年にわたる本研究課題の二年目として、主に学習用データベースの構築と比較的シンプルなモデルでのシミュレーション実験を行った。 データベース構築に関しては、45人の顔面神経麻痺患者と9人の健常者の協力を得て、複数視点顔画像の撮影実験を続けている。顔面神経麻痺患者45人、健常者9人と、偏りの大きいデータに見受けられるが、顔面神経麻痺患者の麻痺程度にはばらつきが大きく、健常者を麻痺度:0とすると、麻痺程度毎に概ね均等なバランスのデータベースを構築できる。 シンプルなモデルでのシミュレーション実験では、学習を少数の表情に限定し、特定の被験者の三次元顔における、表情生成精度を検証した。現段階では学習データ数が限られているため対象を限定して実験を行ったが、顔面神経麻痺患者の顔形状の多様性をカバーし得るデータベースを構築できた際には、基本的には同様の考え方で本研究課題を実現できると考えている。2018年度より新たにDeep Learningに基づいた生成モデルを利用し、患者の麻痺部位を検知するとともに、その部位を表現する特徴量に基づいた顔画像生成への応用を現在進めている。生成モデルを利用するにはデータ数が少ないが、局所的な特徴抽出や各種水増し法を利用して、問題の解決を進めている。 本研究課題では顔面神経麻痺程度の診断支援も目的としているが、2018年度の時点ではこれについては研究を進められていない。2019年度に着手の予定である。 シミュレーション実験に関しては、国内学会において研究報告を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度は主に学習用データベース構築に重点を置いて実験を行ってきた。現状、54人の被験者を確保しており、本実験を遂行するにあたって必要となるデータを取得できる目処はついたと考える。 シミュレーション実験については現在、研究開始当初には想定していなかった課題が浮上しており、昨年度から手法の変更を行ったが、現状進捗の遅れにはつながっていない。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度において、顔面神経麻痺患者の顔画像データベース構築は一旦完了した。 現在はシミュレーションシステムについて現状の問題点の解決策を検討し、年度後半には研究報告、論文投稿などを考えていきたい。また、本研究課題着手以前に開発した二次元顔画像に対する顔面神経麻痺程度の自動評価手法を三次元に拡張し、精度を確認するとともに問題点を洗い出し、発展させる予定である。 三年目である2019年度は締めくくりとして、前年までに作成したシステムの精緻化、対外発表に重点を置く。研究協力者の病院での試験運用に向けて準備を進めていく予定である。
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