三年にわたる本研究課題の最終年として、主にこれまでの研究成果の発表と実証実験を進めた(ただし、成果発表の一部はコロナ禍の影響で会議が中止)。 実験は45人の顔面神経麻痺患者と9人の健常者の協力を得て行った。患者数が45人と、症例を十分に網羅できていないように見受けられるが、45名の顔面神経麻痺患者の麻痺程度にはばらつきを持たせ、偏りがないように配慮されている。健常者を麻痺度:0とすると、麻痺程度毎に概ね均等なバランスで実験を行った。 シンプルなモデルでのシミュレーション実験では、学習を少数の表情に限定し、特定の被験者の三次元顔における、表情生成精度を検証した。現段階では学習データ数が限られているため対象を限定して実験を行ったが、顔面神経麻痺患者の顔形状の多様性をカバーし得るデータベースを構築できた際にも、基本的には同様の考え方で本研究課題を実現できると考えている。2018年度よりDeep Learningに基づいた生成モデルを利用し、患者の麻痺部位を検知するとともに、その部位を表現する特徴量に基づいた顔画像生成への応用を現在進めている。生成モデルを利用するにはデータ数が少ないが、局所的な特徴抽出や各種水増し法を利用して、問題の解決を進めている。 本研究課題では顔面神経麻痺程度の診断支援も目的としており、研究協力者の所属病院での検証実験を進めている。 シミュレーション結果については国内会議、顔面神経麻痺顔の生成等については国際会議にて発表を行った。2020年はじめに予定していた研究発表については、今後新たな発表の場を検討する予定である。
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