本研究は遺児へのグループによるグリーフケアプログラムに関する検討を行うことが目的であった。最終年度においては小学生遺児へのプログラムにおける重要点を整理し、子どもへのグリーフケアプログラム実施に関しての基本的視座を提示した。そこでは子どもを「力のない子ども」と捉えるのではなく、「ひとりの力ある人間」として捉えることの重要性を指摘し、さらに子どもの援助においては悲嘆を直接扱わずとも「遊び」とその制限を意識することで展開が生じる場合があること、さらに遺児の辿るプロセスを物語として理解していくことが重要であることを見出した。 さらに、グリーフケアにおいては量的研究だけではなく質的研究を行うことで効果測定や研究の意義を提示することが重要である。その質的研究の在りかたについて、遺児大学生の語りや過去の悲嘆研究等も用いながら検討を行った。そこでは人間の心や在りかた、死別等の体験についても全て形が一定ではない動きある「動的」なものであると理解し、研究協力者の「動き」を止めないままに捉え理解していく、ということが重要であることが指摘された。 また、グリーフケアプログラムを実施するための基盤としての団体「京都文教大学グリーフケアトポスCo*はこ」を立ち上げ、グリーフケアの実践活動を始めた。配偶者を亡くした遺族の方々の参加を促すことで、そこからその遺された子どもである遺児達の参加につなげる準備段階のところまで進めることができた。この団体を基盤としてスタッフを集め、実際のプログラムの実施を今後行っていく予定にしている。このようにプログラムの骨子とその実施基盤を整えることができた。
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