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2019 年度 実施状況報告書

現代形而上学の時間論との対照におけるインド仏教哲学の刹那滅論の研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K18249
研究機関関西大学

研究代表者

酒井 真道  関西大学, 文学部, 准教授 (40709135)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード刹那滅論 / Stage Theory / 因果論 / 持続性 / temporal counterpart / 時間的対応者
研究実績の概要

研究3年目にあたる令和元年度は、これまでの研究の成果を国内外の学会にてアウトプットすることに注力しつつ、これまでの研究成果をベースに今後の研究の課題を見出していくことにも取り組んだ。
研究成果のアウトプットとしては、6月15日~16日に石川県西田幾多郎記念哲学館で開催された比較思想学会の第46回大会にて研究発表を行ったほか、同じく11月18日~19日にウィーン大学で開催されたPhilology and Philosophy in South Asian, Tibetan and Buddhist Studies: Celebrating 60 Years of Austrian-Japanese Collaborationにおいても研究発表を行った。
後者の発表においては、仏教の刹那滅論を現代形而上学のフレームワークの中で論じることから研究の射程を一歩広げ、今後の研究の課題や新たな研究の方向性を示すことを試みた。このうち、今後の研究課題としては、仏教の刹那滅論とStage Theoryの理論的な交錯点として双方の因果論の対照研究が不可避となることを論じ、更には、個別的な研究テーマとしては、Stage TheoryにおけるTemporal Counterpart(時間的対応者)理論の論理的妥当性の問題を、インド仏教哲学のフレームワークの中で検討する可能性について言及した。
また年度末にかけては、インド古典文献学の研究手法に基づいた研究論文を1本刊行し、本研究のアウトプットの更なる充実を図った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2019年度の研究計画での目標をほぼ達成することができた。それゆえに、研究は概ね順調に進んだと自己評価している。
研究成果のアウトプットとしては、国内学会での研究発表に加え、国際シンポジウムで研究成果を発表する機会にも恵まれた。また、論文3本が刊行済みである。

今後の研究の推進方策

これまでの研究成果を精査・検証することを通じて新たな研究課題がふたつ浮かび上がってきた。
その1つは、現代形而上学のStage Theoryが前提とする因果論と、仏教の刹那滅論が前提とする因果論の、対照研究である。前者の因果論については先行研究も多く、短期間にその全貌を理解することは困難である。また、現代形而上学が因果論を論じる際の枠組みもかなり複雑で難解である。それゆえ今後の研究では、双方の因果論を対照研究する際の適切で効果的な糸口を見出すことが肝要となるだろう。
新たな研究の視点のもう一方は、Stage TheoryにおけるTemporal Counterpart理論(時間的対応者理論)の論理的妥当性の評価である。この理論は、Stage Theoryが、一方では対象の瞬間性を主張しつつ他方では対象の持続性を担保できる説であるための切り札である。現代形而上学のフィールドでは、これまでのところ、この理論の妥当性を検証する研究はあまりないようである。この問題について、インド仏教哲学の認識論の視点から、切り込んで行くことが今後の研究の新たな展望・課題である。

次年度使用額が生じた理由

2019年度の年度末に参加を予定していた国際ワークショップが開催中止となり、研究計画を変更することを余儀なくされた。更にまた、本研究の申請時にはその開催が未定であった、重要な国際学術会議が2020年度に開催されることになったため。
開催中止となったワークショップが2020年度に順延開催になった場合には前年度予算をそれに充て、更に、他の国際学術会議に参加するためにも予算を執行する計画を立てている。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 瞬間(刹那)と可分性・不可分性―現代形而上学のstage theoryと仏教の刹那滅説―2020

    • 著者名/発表者名
      酒井真道
    • 雑誌名

      『比較思想研究』

      巻: 46 ページ: 144-152

    • 査読あり
  • [雑誌論文] vinasaの語義に関する一考察―文法学上の議論について―2020

    • 著者名/発表者名
      酒井真道
    • 雑誌名

      『井上克人教授退職記念論文集』

      巻: 1 ページ: 195-210

  • [雑誌論文] Antarvyapti and Antarvyaptivaditva: Arcata on the Buddhist Inference of Momentariness and Durvekamisra’s Comparison of him with Dharmottara2019

    • 著者名/発表者名
      SAKAI,Masamichi
    • 雑誌名

      Journal of Indological Studies

      巻: 30&31 ページ: 99-128

    • 査読あり
  • [学会発表] 瞬間(刹那)と可分性・不可分性―現代形而上学のstage theoryと仏教の刹那滅説―2019

    • 著者名/発表者名
      酒井真道
    • 学会等名
      比較思想学会
  • [学会発表] Combining Research Perspectives: Philology and Intercultural Studies2019

    • 著者名/発表者名
      SAKAI,Masamichi
    • 学会等名
      Philology and Philosophy in South Asian, Tibetan and Buddhist Studies: Celebrating 60 Years of Austrian-Japanese Collaboration
    • 国際学会 / 招待講演
  • [図書] Brill's Encyclopedia of Buddhism. Volume Two: Lives2019

    • 著者名/発表者名
      Jonathan A. Silk, Richard Bowring, Vincent Eltschinger, and Michael Radich (eds.)
    • 総ページ数
      xlvi, 1310
    • 出版者
      Brill
    • ISBN
      978-90-04-29937-5

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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