研究課題/領域番号 |
17K18251
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
宮嶋 純子 関西大学, 東西学術研究所, 非常勤研究員 (80612621)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ベトナム仏教 / 安子山 / ボーダー寺 |
研究実績の概要 |
本年度は、日本国内においては今後のベトナム仏教史研究に関するための碑文拓本資料の調査・整理を中心におこなった。多くの碑文拓本は既に『漢喃文刻拓本総集』などに載録されており国内外の研究者によって利用が可能となっているが、充分な活用のためにはまだ問題点も多い。20世紀初頭以来フランス極東学院及びベトナム漢喃研究院が行ってきた碑文拓本事業の概要と成果物の刊行状況について紹介すると、これらを用いたベトナム仏教史研究の試みとして、ハノイ市内の古刹・蓮派寺に伝わる碑文類を取り上げた成果報告をおこなった(7月)。 また国外調査を8月及び3月に実施、主としてベトナム北部各地域の代表的な寺院の視察を行うと共に、関連書籍・資料の収集、現地研究機関との意見交換など、研究課題に関する調査遂行のための基礎的な準備・環境整備につとめた。以下、本研究課題に関する現地調査は、ベトナム社会科学院宗教研究院、特に同所研究員グェン・ヒュー・スー氏及び客員研究員大西和彦氏の全面的な援助・協力のもと遂行している。 まず、8月調査時にはベトナム・ハノイ市周辺地域やナムディン省の諸寺院を訪問、特に北部ベトナム仏教の代表的聖地であるクァンニン省イェントゥー(安子)山の諸寺院を重点的に調査した。本調査の成果については2月に開催された科研研究集会にて報告を行っている。 3月の調査では、本研究課題の主目的であるバクニン省ボーダー(補陀)寺所蔵典籍の調査に着手することができた。調査は写真撮影を主とし、全体のおよそ4分の1ほどの典籍に目を通した。所蔵典籍の全体像の把握や、典籍個々の書誌学的検討などは今後の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の最大の目的として掲げた、バクザン省ボーダー寺の所蔵典籍調査に着手することができ、当該寺院や関係諸機関と今後の調査継続についても了承を得たため。また関連史料の調査収集も並行して進めている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の方策として、以下を重点的に進める。 1.バクザン省ボーダー寺の所蔵典籍調査の継続。本年度は上述の通り典籍の実見及び写真撮影の機会を得たが、総量から見ればまだ4分の1程度を見たにすぎない。今後も定期的に現地に赴き調査を継続する 2.上記調査結果を受けて、バクザン省ボーダー寺所蔵典籍に関する書誌学的研究、また同典籍を用いてのベトナム仏教史研究を推進し、その成果を報告する 3.ベトナム仏教史研究に関する史資料の収集・ベトナム北部地域の諸寺院調査も継続して進める
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次年度使用額が生じた理由 |
主に書籍購入費及び資料複写費用として計上していた金額について残額が生じた。現地調査時に購入を予定していた書籍が、品切れ等の理由で入手できなかったためである。この次年度使用額については翌年度分として請求した助成金と合わせ、主としてベトナムにおける調査にかかる諸費用及び必要書籍の購入費として使用する。
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