研究実績の概要 |
(1)第三世代がん治療用HSV-1による細胞障害とエントリーレセプターとの関連性の検討:Nakatake R et al. A third-generation oncolytic herpes simplex virus inhibits the growth of liver tumors in mice. Cancer Sci. 2018; 109: 600-610.において、in vitroでの第三世代がん治療用HSV-1(T-01)の細胞障害性実験を行った。肝がん細胞株15種類の検討において、T-01による抗腫瘍効果の弱い2種類の細胞株(HLEとJHH5)が存在した。肝がん細胞株における第三世代がん治療用HSV-1の抗腫瘍効果はエントリーレセプターの発現に依存する可能性があり、細胞障害性と Nectin-1およびHVEMの発現との関連性を検討した。T-01による抗腫瘍効果が強かったHuH-7ならびにPLC/PRF/5を含めて、HLEとJHH5におけるHVEMとNectin-1の発現をFCM法を用いて確認した。HVEMはHuH-7での発現、そしてPLC/PRF/5とJHH5での非常に弱い発現を認めた。Nectin-1はJHH-5のみ非常に弱い発現を認めた。効果の強かった細胞株(HuH-7,PLC/PRF/5)と効果のなかった細胞株(HLE,JHH-5)では、細胞障害性とNectin-1,HVEMの発現に相関はなかった。 (2)T-01とソラフェニブの併用療法による直接的な抗腫瘍効果の検討:武装化ウイルス(T-mfIL12, T-B7-1)の検討を行うと同時に、T-01と現在臨床で使用されているソラフェニブとの併用の効果を検討した。ヒト肝細胞がん細胞株に対し、in vitroでの相乗効果を確認した。またin vivoでの、ヌードマウス皮下モデルにおける、ソラフェニブの血管新生阻害効果とT-01の直接的な抗腫瘍効果との併用による効果を確認した(TUNNEL染色など)。 (3)T-mfIL12, T-B7-1の培養細胞における効果検討:in vitroでの、T-01と比較したT-mfIL12, T-B7-1のマウス肝癌に対する抗腫瘍効果と複性能の確認について、現在実験中である。
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