本研究では、従来注目されてきた「リスクモデル」の犯罪者処遇に加え、「ポスト・リスクモデル」の犯罪者処遇の出現過程とその概要を把握することめざした。それにより、現在および未来の犯罪者処遇のあり方について議論する際に、「リスクモデル」を前提としてそれを評価ないし批判するだけでは不十分であり、「ポスト・リスクモデル」の犯罪者処遇が内在させている問題点や、「リスクモデル」と「ポスト・リスクモデル」の関係性についての経験的・理論的考察を踏まえた、規範的・臨床的・政策的な議論がなされなければならない、ということを示唆したことが本研究の大きな学術的・社会的意義である。
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