研究課題
MATE(Multidrug And Toxic Compound Extrusion)型輸送体は原核生物から高等真核生物に至るまで広く保存されている多剤排出輸送体ファミリーの一つである。 哺乳類においてもホモログが同定されており(SLC47)、腎臓、肝臓における有機カチオン排泄輸送体としての重要性が広く認められている。しかし、本研究では、有機カチオン排泄以外の機能、すなわちMATE型輸送体がテストステロン輸送体として機能している可能性に注目している。これまでにマウスのMATEホモログであるmMATE2が精巣Leydig細胞特異的に発現していることが報告されており、MATE 型輸送体のテストステロンの輸送への関与が示唆されている。また、MATE 型輸送体の基質であるシメチジンやベラパミルについては、これらをヒトに投与した際の副作用として血中テストステロンの減少を起こす可能性があることが従来から添付文書にも記載されており、ヒトにおいても、MATE 型輸送体とテストステロン分泌との関連が強く示唆される。本研究の目的は、MATE 型輸送体 のテストステロン輸送体としての機能を明らかにすること、さらに、テストステロン分泌を効率よく抑制できるMATE 型輸送体阻害剤を探索することである。 2019年度は当初計画に基づき、まずホモロジーモデリング法を用いてhMATE1, hMATE2Kの立体構造を予測した。その後、ドッキングシミュレーションを用いてテストステロンとの結合ポケットを予測し、予測した結合ポケット近傍のアミノ酸残基を置換した変異型MATE型輸送体を作製し、テストステロンの輸送活性に変化があるかどうかを検討した。その結果、hMATE1のテストステロン輸送に重要なアミノ酸側鎖を同定し、hMATE2KではなくhMATE1がテストステロン輸送に関与する可能性を明らかにした。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件)
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