研究課題/領域番号 |
17K18265
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研究機関 | 大阪人間科学大学 |
研究代表者 |
勝間 理沙 大阪人間科学大学, 人間科学部, 助教 (50572385)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 攻撃性の構造関係 / 共感 / happy victimization現象 / 児童期 |
研究実績の概要 |
本研究は,小学校4~6年生を対象として,児童期の攻撃性の様態を明らかにすること,そして“共感”および“happy victimization”現象と攻撃性との関係を明らかにすることを目的としており,攻撃性の適正化,予防への有効なアプローチに必要な知見を得ること目指している。具体的には,次の3つの研究を進める予定である;【研究①】現在開発中である日本の児童に適用できる攻撃性の構造関係の測定法を標準化する,【研究②】児童における攻撃性の構造関係から共感との関係を縦断的に検討する,【研究③】児童における攻撃性の構造関係と共感,感情帰属であるhappy victimization との三者関係を横断的,縦断的に検討する。 研究初年度である平成29度は,本研究で使用する質問紙尺度を準備し,特に研究①として攻撃性の構造関係の測定法を標準化のための調査を行う予定であった。 実際の進捗としては,ひとまず,開発中の攻撃性の構造関係を測定する尺度については,その因子構造を再検討し,日本発達心理学会第29回大会で発表を行った。さらにその他の関連学会で近隣分野の研究者からの意見をもとに,項目の配置や教示文の見直しなど質問紙の再構成を行った。ただし,標準化に必要な安定性,妥当性の調査までには至らなかった。また,日本では研究が少ない“happy victimization”現象の尺度については,Arsenioらによる先行研究を中心に関連知見を集めレビューした。その中で,“happy victimization”現象に関連する感情の帰属については方法論的な問題が指摘されており,日本で小学生を対象として測定できる方法をさらに検討する必要が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は,開発中の攻撃性の構造関係測定尺度について,安定性の検討として検査-再検査法,妥当性としては,基準連関妥当性および構成概念妥当性の検討のための調査を行う予定であった。上述の通り,攻撃性の因子構造や質問紙の構成の再検討は行うことができ,さらに妥当性に必要な外的基準として適切な尺度を選定するところまでは行えた。 しかし,今年度後半期に研究代表者が所属機関を急に異動せざるを得なくなるという事態となり,予定していた調査実施が困難となり,また研究続行自体が危うくなった。そのため,異動先の確保や研究計画の再検討の必要性が生じ,全体として当初の実施計画予定よりやや遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
研究2年目の平成30年度では,前半期にまず標準化の調査を最優先で行う予定である。ただし,研究②として「児童における攻撃性の構造関係から共感との関係を縦断的に検討する」ことを目的としており,縦断調査として2度データ収集を行うことから,可能な限り,安定性や基準連関妥当性の検討を同時に行う予定である。 また,研究③「児童における攻撃性の構造関係と共感,感情帰属であるhappy victimization との三者関係を横断的,縦断的に検討する」のための調査を行うため,後半期から次年度かけてデータ収集が行えるよう準備していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度平成29年度に行えなかった調査および次年度平成30年度に予定していた調査の準備,実施に必要となるため
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