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2019 年度 実績報告書

脈絡叢を介した神経再生メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K18266
研究機関藍野大学

研究代表者

兼清 健志  藍野大学, 中央研究施設, 講師 (20525399)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード脈絡叢上皮細胞 / 脊髄損傷 / オリゴデンドロサイト / 軸索再生
研究実績の概要

本研究の目的は、種々の栄養因子を含む脳脊髄液を産生している脈絡叢上皮細胞に着目し、脊髄損傷時におこる脈絡叢上皮細胞の応答を調べることで、本来持っている神経の自己再生メカニズムの一端を明らかにすることである。
前年度までには、ラットの側脳室と第四脳室の脈絡叢を採取し、それぞれの脈絡叢上皮細胞の初代培養系を確立し、その性質の違いを明らかにした。簡潔に述べると、側脳室由来の脈絡叢上皮細胞の多くは未分化性は高いが細胞増殖が遅く、一方で、大四脳室由来の脈絡叢上皮細胞は未分化性が低く細胞増殖が速いことがわかった。さらに、正常ラットと脊髄損傷ラットの脈絡叢の解析から、脊髄損傷後にin vivoでも側脳室の脈絡叢上皮細胞で未分化マーカーの発現が高くなることがわかった。
今年度は、脈絡叢上皮細胞の分泌する因子が脊髄損傷に及ぼす影響を明らかにする目的で、圧挫損傷モデルラットに脈絡叢上皮細胞の培養上清(CPEC-CM)を脳脊髄液経由で持続投与し、損傷脊髄の解析を行った。免疫組織化学的な解析の結果、CPEC-CM投与群では脊髄損傷部の再生神経密度が有意に高くなっていた。さらに、再生神経の髄鞘を調べた結果、CPEC-CM投与群で有意に髄鞘密度が高くなっていた。これらのことから、CPEC-CMはこれまでわかっていたニューロンの軸索伸長を促進する作用だけでなく、髄鞘の形成も促進する作用も有していることが明らかになった。再生軸索の髄鞘の一部はシュワン細胞によって形成されることがわかっているので、シュワン細胞の密度を調べた結果、CPEC-CM投与群とコントロール群に差はなかった。このことから、CPEC-CMはシュワン細胞ではなく、オリゴデンドロサイトによる髄鞘形成を促進することが示唆された。現在、組織や細胞培養系でCPEC-CMが実際にオリゴデンドロサイトやその前駆細胞に作用しているかどうか解析中である。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)

  • [雑誌論文] The Role of Branched <i>O</i>-Mannosyl Glycan in Demyelination2019

    • 著者名/発表者名
      Sakuda Kanoko、Kanekiyo Kenji、Taniguchi Naoyuki、Kitazume Shinobu
    • 雑誌名

      Trends in Glycoscience and Glycotechnology

      巻: 31 ページ: E77~E85

    • DOI

      10.4052/tigg.1959.2E

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] Low Adhesive Scaffold Collagen Prepared From Type I Collagen Promotes Neuronal Survival And Neurite Outgrowth2019

    • 著者名/発表者名
      Kunii S, Nakano N, Kanekiyo K, Omae K, Ide C, Morimoto C.
    • 学会等名
      ASCB | EMBO 2019 meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] 脊髄損傷治療に有効な足場材の開発2019

    • 著者名/発表者名
      兼清健志
    • 学会等名
      第3回Glycoleague研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 脊髄損傷治療へ向けた終糸の中心管上衣細胞の解析2019

    • 著者名/発表者名
      兼清健志, 中野法彦, 塚越千尋, 宮本陳敏, 安部征哉, 井出千束
    • 学会等名
      第92回日本生化学会大会
  • [学会発表] 細胞低接着性コラーゲンを足場とした神経細胞の突起慎重の解析2019

    • 著者名/発表者名
      中野 法彦,兼清 健志,國井 沙織,森本 康一,尾前 薫,井出 千束
    • 学会等名
      第92回日本生化学会大会
  • [学会発表] 外傷性損傷による脊髄の微小環境変化と神経再生2019

    • 著者名/発表者名
      兼清健志
    • 学会等名
      第38回日本糖質学会年会
    • 招待講演
  • [学会発表] Characteristics of the ependymal cells in the filum terminale and its therapeutic potential for spinal cord injury2019

    • 著者名/発表者名
      Kanekiyo K, Nakano N, Tsukagoshi S, Miyamoto C, Abe S, Ide C
    • 学会等名
      第42回日本神経科学大会
  • [学会発表] 細胞低接着性コラーゲンを足場とした神経細胞の培養2019

    • 著者名/発表者名
      中野 法彦,兼清 健志,國井 沙織,森本 康一,尾前 薫,井出 千束
    • 学会等名
      第42回日本神経科学大会
  • [学会発表] ラット終糸の構造と中心管上衣細胞の解析2019

    • 著者名/発表者名
      兼清健志, 中野法彦, 塚越千尋, 宮本陳敏, 安部征哉, 井出千束
    • 学会等名
      第124回日本解剖学会総会・全国学術集会
  • [学会発表] 細胞低接着性コラーゲンを足場とした神経細胞の突起伸長2019

    • 著者名/発表者名
      中野 法彦,兼清 健志,國井 沙織,森本 康一,尾前 薫,井出 千束
    • 学会等名
      第18回日本再生医療学会総会
  • [産業財産権] 神経細胞培養材および神経損傷治療剤2019

    • 発明者名
      森本康一、國井沙織、兼清健志、中野法彦、井出千束、尾前薫
    • 権利者名
      森本康一、國井沙織、兼清健志、中野法彦、井出千束、尾前薫
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      WO2019/151450
    • 外国

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公開日: 2021-01-27  

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