研究課題/領域番号 |
17K18275
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
横路 三有紀 武庫川女子大学, 生活環境学部, 助教 (80757188)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 非対称性ジメチルアルギニン / スクリーニング / 機能性食品成分 |
研究実績の概要 |
非対称性ジメチルアルギニン(ADMA)は、強力な血管内皮由来血管弛緩因子である一酸化窒素(NO)の合成を阻害する内因性NO合成酵素阻害物質である。ADMAは体内においてタンパク質のターンオーバーで恒常的に産生されているが、ADMAの過剰蓄積はNO産生量低下を介して血管内皮障害を生じさせ、高血圧や心血管疾患の発症リスクを高める。したがって、体内ADMAを減少させることはこれら疾患の発症を予防し、健康寿命の延伸に寄与するものと考えられる。本研究は、細胞内ADMA濃度を低下させる効果を有する可能性のある機能性食品成分の探索に向けて、細胞内ADMA分解活性バイオセンサーを開発し、簡便なスクリーニング系を確立することを目的としている。 本年度は昨年度に引き続き、バイオセンサーを作成するために必要なADMA依存的にdimetylarginine dimethylamino hydrase-1(DDAH-1)に結合する未知タンパク質及びペプチドを探索するため、Hisタグ融合型ヒト型DDHA-1を結合させたTALONレジンと細胞粗抽出液を用いてADMA添加、非添加条件下のプルダウンアッセイを行っている。本実験は条件検討段階であり、次年度も継続して行う。加えて本年度は、二次スクリーニングとしても使用できるよう、別法として研究室で樹立したELISAによるADMA測定系を応用したスクリーニング系の構築に向けて、検討を始めた。培養細胞の培養上清中のADMA濃度をELISAで測定し、細胞内ADMA濃度低下作用評価系とするため、スクリーニング系としてのELISAの最適条件の検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ADMA濃度の評価系として使用するための新規バイオセンサーの作成に必要なADMA依存的DDAH結合タンパク質もしくはペプチドの探索は前年度より継続して行う。 今年度より、二次スクリーニングとしても使用できるよう、研究室で樹立したELISA系を用いて培養細胞の培養上清中のADMA濃度をELISAで測定し、機能性食品成分の探索を行えるかどうかの検討を始めた。検討段階ではあるが、すでに細胞上清中のADMA濃度を変化させる食品成分を選別できている。以上より、現状はおおむね順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
ADMA依存的DDAH結合タンパク質もしくはペプチドの探索は前年度より継続して行う。 ELISA系を用いた食品成分の探索は、スクリーニング系として用いるための測定条件を検討する。また、すでに見つかった細胞上清のADMA濃度を制御する食品成分についてはさらに検証を加え、論文として発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新規バイオセンサーの開発では、本年度はバイオセンサーを樹立後、培養細胞に導入する予定であったが、その段階まで進むことができなかったため細胞培養に必要な経費が次年度使用額となった。この予算は、次年度のバイオセンサー構築に向けた必要な実験及びすでに候補として見つかった食品成分のADMA制御機構の解明に必要な実験と論文投稿の費用として使用する予定である。
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