研究実績の概要 |
看護師は複数の患者から発生する看護サービス需要に対し,柔軟に「段取りをしながら」看護サービスを提供している.これまで看護業務における「段取り」の概念や構造,「段取り」能力の評価方法は明らかになっておらず,「段取り」の習得は個人の経験的学習に任されてきた.しかしながら,看護の質と効率性を高めるためには,看護業務における「段取り」を解明し,効果的学習方法を提案することが極めて重要である.そこで本研究では,看護業務の「段取り」の概念を明確にする.また,臨床現場で行われている「段取り」のプロセスの抽出・定義を行った.さらにオブジェクト指向による業務モデリング手法にて看護業務における「段取り」の静的・動的・機能的構造を明らかにした.2019年度は統一モデリング言語(Unified Medeling language:UML)にて業務段取りの静的側面,動的側面,機能的側面を明らかにした.具体的にはUMLにより看護実践における「段どり」が果たす機能,「段取り」の構造,「段取り」プロセスを明示した.前年度までの成果に基づきユースケース図で段取りの機能明示を行った.次に看護業務のオブジェクトを抽出し,クラスを定義し,クラス図を作成した.クラスは看護業務の属性,振舞い,そして他業務との関連を定義した.さらにアクティビティ図とシーケンス図を作成し,「段取り」のプロセスと「段取り」における情報や行動の処理過程を明示した.
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