研究課題/領域番号 |
17K18278
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
松本 知沙 東京医科大学, 医学部, 講師 (30433923)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 血圧変動性 / 血糖変動性 / 認知症 / 疫学 / 予防 |
研究実績の概要 |
急増する認知症の危険因子には糖尿病と高血圧があるが、糖尿病患者は両疾患の合併が多く、同患者での血糖及び血圧管理は重要である。近年両因子の変動性と心血管疾患の関連が謳われているが、両変動性と認知症の関連を検証した報告はない。本研究では糖尿病患者の大規模集団であるJPAD (Japanese Primary prevention of atherosclerosis with Aspirin for Diabetes)を基に糖尿病患者での以下①②の検証を目的とする。 ①血糖変動性及び血圧変動性と認知症発症との関連、②同関連に各治療薬が与える影響について。本研究は本邦の戦略的認知症予防に極めて有用と考える。 JPADは平成14年から追跡調査を行っており、本研究課題では平成29年度まで同集団の継続追跡を行った。平成30年度は同調査を基にイベント評価委員によるイベント評価後、データベース構築を行った。データベース詳細は以下である。 【データベース】JPAD研究は全国163施設から登録された2型糖尿病患者2536人を対象に、平成14年から開始した低用量アスピリンの脳・心血管疾患イベントに対する一次予防効果を検証した大規模臨床試験である。JPAD研究では同臨床試験終了後も、予後調査の同意を得て、糖尿病患者の予後と危険因子を解析する目的でJPADコホートを構築し追跡調査を行っている。【アウトカム】新規の認知症発症:定義は認知症治療薬の開始、認知症による入院、及び各JPAD登録施設からの調査票による認知症の診断とする。【血糖変動性及び血圧変動性】JPAD研究開始時より経年的に血糖(HbA1c (NGSP値))及び収縮期/拡張期血圧が追跡されており、各患者のvisit-to-visitでの変動性をその標準偏差及び変動係数等を用い評価する。【その他の調査項目】患者背景、死亡、心血管疾患発症、内服等。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究助成採択後は平成29年度まで、平成14年度から開始されているJPADの継続追跡調査を行った(合計16年)。平成30年度は同追跡調査を基にイベント評価委員によるイベント評価後、データクリーニング、データベース構築を行った。またこれを基にプレ解析を行い、その結果を平成30年の米国心臓病学会(American Heart Association Scientific Sessions 2018)にて発表した。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は構築されたJPADデータベースを用いたデータ本解析を行う。解析方法は以下とする。 【解析方法】Coxハザードモデルを用い、血糖変動性及び血圧変動性と認知症発症の関連を検証すると共に両者の交互作用を検討する。また、同関連への各種治療薬の影響を、同モデルを用いて検証する。 また同解析結果をもとに論文作成を行い、米国心臓病協会誌Circulation 及びHypertensionへの投稿を予定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度に参加した複数の学会が同年度末に開催された為、これらの旅費等の経費は翌31年度に加算と変更した。また人件費に関し、平成30年度より所属機関が兵庫医科大学から東京医科大学へと変更したのに伴い、人員スタッフの変更もあったことから平成30年度はこれを必要としなかった。 平成31年度は前年度に参加も使用額に計上されなかった旅費等の加算および、本研究課題の結果報告となる論文作成およびデータ解析に必要な資料、物品、サービスや、最新の本研究課題に関連する知見を得る為の各種学会への参加が必要であり、これらが計上される予定である。
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