超高齢化社会である本邦において、健康寿命を阻害する認知症の急増への対策は喫緊の課題である。認知症の危険因子には糖尿病と高血圧があるが、近年両因子の変動性と心血管疾患の関連が謳われているが、両変動性と認知症の関連を検証した報告は少ない。 本研究では高齢糖尿病患者の大規模集団であるJPAD (Japanese Primary prevention of atherosclerosis with Aspirin for Diabetes)を基に糖尿病患者での血糖変動性及び血圧変動性と認知症発症との関連について検証した。 JPADは平成14年から追跡調査を行っており、本研究課題では平成29年度まで同集団の継続追跡を行った。平成30年度は同調査を基にイベント評価委員によるイベント評価後、データベース構築を行った。平成30年度はプレ解析を行い、この結果を平成30年の米国心臓病学会(American Heart Association Scientific Sessions 2018)にて発表した。 令和元年には本研究とも関連する低用量アスピリン内服と認知症リスクをJPAD集団で検証した論文(Sex Difference in Effects of Low-Dose Aspirin on Prevention of Dementia in Patients With Type 2 Diabetes: A Long-term Follow-up Study of a Randomized Clinical Trial. Diabetes Care. 2020 Feb;43(2):314-320)を発表した。また最終解析において、血圧変動性、血管変動性の認知症発症リスク上昇との関連を認め、論文執筆を行った。
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