研究実績の概要 |
平成30年度は前年度開発した「高速回転式LED送信機」からの信号を検出及びデータ復調を行うための受信アルゴリズムの開発を行った.まず,本通信システムの通信フォーマットを検討した.本システムではパケット構成での通信を行い,パケットフォーマットはヘッダ部を送信機の回転6回転分,データ部をその20回転分で構成した.ヘッダ部の役割はデータの開始を知らせ,さらに回転によって画像の空間方向に複数点滅された各LED光の座標取得である.本研究では,送信機が回転1度ごとに点滅が切り替わるように設計していることから,一周360度の内,偶数角度 (0, 2, 4, ・・・, 358) のみ点灯するパターンを2回転,奇数角度 (1, 3, 5, ・・・, 359) のみ点灯するパターンを2回転挿入した.さらに,受信機側がデータを取得する範囲を知らせるためのパターンを2回転挿入し,これをヘッダ部と決めた.データ部ではデータをOn-Off-Keying (OOK) によって変調されたデータと仮定して,M系列に従うランダム点灯パターンを挿入した. 受信機側では,送信機の回転による点灯範囲及パケットの先頭は検出できたと仮定して次のようにデータの復調を行った.まず,ヘッダ部の点灯パターンから各角度におけるLEDの点滅座標の取得とデータ範囲の取得を行った.次に,取得した座標とヘッダ部の点灯パターンを用いて,データ判定用の閾値を決めた.最後に,取得した座標と閾値を用いてデータ部のオン/オフ判定を行い,データを復調した. 以上のアルゴリズムを用いて実験を行ったところ,座標取得が成功した範囲においては通信の誤りなく,復調に成功した.また,データ転送レートを算出したところ,回転しない従来の単純なOOK手法と比べて約40倍の向上が確認できた.
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