本申請者は、フッ素系結晶性高分子とイオン液体からなる溶液が高リチウム塩濃度において相分離を起こすことを見出した。この発見を契機として、相分離と結晶化の競合で多孔性のイオン液体ゲルが作成できることを明らかにし、その機構解明を行なった。相分離温度と結晶化温度の詳細な相図の作成や熱物性の解明を行い、相分離はリチウム塩濃度が20wt%以上で出現すること、大幅な融点の上昇は相互作用パラメータの上昇に由来することを明らかにした。また、リチウム塩がイオン液体のアニオンと錯体を形成し、アニオンによるPVDFへの溶媒和が減少することでPVDFがエネルギー的に不安定化し、その結果相分離が起きることを明らかにした。
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