近年、アルツハイマー病や精神神経疾患など多くの中枢系疾患が急増しているが、これら疾患を根治的治療できる薬物療法は確立されていない。その要因の一つとして、生体内バリアである血液脳関門が脳への物質移行を厳格に制限しているため、脳内まで治療薬を送達できず、治療効果が得られないことが挙げられる。そこで、血液脳関門を回避することで脳へ効率的に薬物送達できる技術として経鼻投与経路が注目されている。経鼻投与による有用な中枢性疾患治療戦略が新規開発できれば、世界中で増加の一途を辿っている中枢系疾患の治療が可能となることから、本研究成果並びに得られた新規知見の学術的意義は大きく、社会貢献度も高いと考えている。
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