研究課題/領域番号 |
17K18290
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研究機関 | 安田女子大学 |
研究代表者 |
野瀬 由佳 安田女子大学, 家政学部, 講師 (60634194)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 階段歩行 / 体温 / 食事内容 |
研究実績の概要 |
2021年度は,登山活動のシミュレーションとして階段歩行を用いて,歩行前の食事内容が生理応答に及ぼす影響を明らかにした。 対象者は,循環器系の基礎疾患のない成人女性8名とした。対象者は,白米のみを摂取する主食条件と主食・主菜,副菜を含む食事を摂取するバランス食条件の2条件の測定を異なる2日間に行った。対象者は,測定60~90分前に試験食を摂取し,30分間の座位安静後に測定を行い,その後,階段運動を負荷した。階段歩行は,100bpmの速さで20分をかけて4往復した。測定項目は,外耳道温,皮膚温度10か所,心拍数,血圧,RPE(Rating of Perceived Exertion:Borg Scale)とした。皮膚温度,外耳道温,血圧は,座位で安静時,運動終了直後,運動終了15,30,45,60分後に測定した。心拍数は,スポーツ心拍計を装着し,数値を対象者が確認し,歩行前と上りの折り返し位置の到着直後,終了直後に,RPEとともに口頭で申告した。 バランス食条件の歩行前の皮膚温度は,右足の甲を除く9か所で主食条件より高い値を示した。運動後の皮膚温度の上昇量は,主食条件がバランス食条件に比較して有意に高かった(p<0.05)。運動時の心拍数の増加量は,0.5周目,1.5周目,3.5周目,4周目において主食条件がバランス食条件と比較し有意に高かった。階段歩行時のRPEは,主食条件がバランス食条件より有意に高い値で推移した。品数の多い食事は,ごはん単品の食事に比較し,運動前の皮膚温度を上昇させ,運動時の急激な皮膚温度上昇や心拍数増加を抑制した。本研究の結果から,ごはん単品の摂取では,運動時の急激な皮膚血流量増加により,心拍数の増加など循環器系の負荷増大が生じる可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
宿泊を伴うフィールド調査を中心に研究計画を立てていたが,新型コロナウィルスの流行により調査場所への移動などが困難となり,研究計画の見直しが必要となったため。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染予防の観点から,宿泊を伴うフィールド調査が難しい場合は,研究室内での測定に変更する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は,新型コロナウィルスの流行により,宿泊を伴うフィールド調査が行えなかった。また,学会発表がオンラインになったことから,移動や宿泊に関する旅費を使用しなかった。 今年度も,フィールド調査が困難な場合は,研究室内で調査を行う。研究室内の調査となった際には,研究室のパーテーション設置や消毒など感染対策にかかる費用や人件費などに使用する。
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