研究課題
若手研究(B)
登山事故を軽減させるための食事内容を検討した。実態調査では,おにぎりや菓子パンを持参する人が多いことや,1食分の許容価格が300~400円,許容重量が500g以内であることが明らかになった。次に食事内容が生理応答に及ぼす影響について明らかにした。おにぎりや菓子パン単体での摂取は,主食・主菜・副菜の揃った食事に比較し,運動時の急激な皮膚温上昇,心拍数および血糖値の上昇につながることが明らかになった。これらの調査結果をもとに,栄養価が高く,軽量で保存性が高い登山食レシピを提案した。我々の提案した登山食レシピの摂取は,歩行時の血糖値を維持させ,集中力や疲労感の低下につながることが明らかになった。
健康教育 運動生理学
毎年,滑落や道迷いによる遭難者は3,000人前後と,増加傾向にある。これらの要因として,エネルギーや栄養素の摂取不足による集中力や思考力の低下が考えられる。本研究では,登山者が多く持参するおにぎりやパン単体を摂取した際の生理応答から,それらの食事の問題点を明らかにした。次にこれらを踏まえ,保存性,重量,嗜好性などを考慮した登山食を提案し,これらが登山中の血糖値の維持や集中力,疲労感の軽減につながる可能性を示した。本研究で得られた知見は,重大な登山事故予防に寄与すると考えられる。