研究最終年度である2019年度は、論文1件・学会発表2件にて研究実績を公表した。その他、本研究課題に関する内容について1件の新聞記事に掲載された。各論文・学会発表等の概要は以下の通りである。 まず、前田瞬(2020)の論文では、本研究課題のまとめとして、1970年代から1980年代にかけて情報システムの概念のひとつとして脚光を浴びた,「DSS(Decision Support Systems:意思決定支援システム)」を再考し,組織における“利用者指向的”な観点で情報システム設計・開発をしていくという観点の重要性についてひとつの試論を示した。特に、経営情報システム研究において,近年,とみに注目を集めている「社会物質性(Sociomateriality)」という分析視角を用いて議論した。その上で、本研究課題に関わって、社会物質性という分析視角を取り入れた医業経営の経営意思決定支援システムの構築の具体的手法を明らかにしていく方向性を述べた。 次に、2019年6月に開催された日本情報経営学会第78回全国大会ならびに2019年11月に開催された日本情報経営学会第79回全国大会では、医業経営の意思決定支援システムを活用すると想定される様々な医療従事者のICT活用力についての実態調査を行った結果を報告した。そして、「地域医療連携への活用」という視点から医業経営の経営意思決定支援システムの構築を想定した場合について考察した結果を報告した。 最後に、2020年2月に記事となった長崎新聞NR、フロンティアという特集記事において、「情報管理の在り方を追求」という内容で、組織における情報システムの管理について論考を示した。 以上、研究計画3カ年で医業経営における経営意思決定支援システムを構築する際の要件について、多面的に検討することができ、当初研究目的を達成することができたと考える。
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