研究課題/領域番号 |
17K18294
|
研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
赤澤 直紀 徳島文理大学, 保健福祉学部, 講師 (90789603)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 筋内脂肪 / 入院高齢患者 / 大腿四頭筋 |
研究実績の概要 |
近年の研究により、骨格筋内における脂肪組織(筋内脂肪)の増大は、身体機能の低下のみならず生存率の減少に繋がることが明らかとされている。しかし、今日までの筋内脂肪に関する調査は、主に地域在住高齢者を対象としており、高齢入院患者のそれらの特徴については十分に明らにはされていない。本研究は、高齢入院患者の筋内脂肪の特徴を調査することを目的としている。 2018年度は、脳卒中患者を除く高齢入院患者103名を対象として、大腿四頭筋の筋内脂肪量と嚥下障害の程度との関連を調査した。大腿四頭筋の筋内脂肪量は超音波画像の筋輝度から評価した。嚥下障害の程度はFood Intake Level Scaleを用いて評価した。統計解析は、Food Intake Level Scaleを従属変数、大腿四頭筋筋輝度、大腿四頭筋筋厚、年齢、性別、Body mass index、投薬数、C-reactive protein、Geriatric Nutritional Risk Index、合併症、大腿部皮下脂肪厚、発症からの期間を独立変数とした重回帰分析を行った。結果、大腿四頭筋筋輝度(β=-0.28)、投薬数(β=0.22)、Geriatric Nutritional Risk Index(β=0.27)、大腿部皮下脂肪厚(β=-0.29)が有意にFood Intake Level Scaleに関連する変数として選択された。大腿四頭筋筋厚は有意な変数としては選択されなかった。これらの結果は、大腿四頭筋の筋内脂肪の増大は、大腿四頭筋の筋量の減少よりも高齢入院患者の重度嚥下障害に関連することを示した。高齢入院患者の嚥下障害の改善を図るためには、大腿四頭筋の筋内脂肪量を減少させることに焦点をあてることが重要となる可能性が示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
縦断データの取得に若干の不足が確認されるが、当初の計画通り、おおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度となる2019年度は、高齢入院患者と地域在住高齢者における筋内脂肪量の量的比較を行うことで、高齢入院患者の筋内脂肪の量的特徴を明らかとしたい。さらに、高齢入院患者の大腿四頭筋の筋内脂肪量と栄養状態、歩行自立度、転帰先との関連を調査する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
学会参加等で見込みで予算を確保していたが、予定よりも少額で済んだため、残額が生じた。残予算は、本研究に関わる消耗品の購入にあてる予定である。
|