研究課題/領域番号 |
17K18300
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研究機関 | 福岡工業大学 |
研究代表者 |
宮本 知加子 福岡工業大学, その他部局等, 特任教員 (00795841)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 学生支援 / スクリーニング / UPI |
研究実績の概要 |
本研究では,要支援学生の早期発見を目的とするスクリーニングシステムを開発し,学生生活への適応を促すための実務者間の情報共有体制を構築することを目的としている。 初年度は,スクリーニングシステムに活用するためのデータの整理とその分析を実施した。スクリーニングシステムとして精度を上げるために,University Personality Inventory(UPI)のデータを活用することとした。UPIは,1960年代に確立されたスクリーニングのための尺度であり,現在においても大学生の精神的な健康状態の尺度として用いられている。本学においても,全入学生に対してUPIを実施しているため,このデータを活用することとし,2つの分析方法を用い,予測モデルの構築を試みた。1つめは,ロジスティック回帰分析による不適応リスク予測モデルである。4つの健康的主訴(A1_心気的,A2_抑うつ,A3_劣等感,A4_強迫・被害的)に関する各チェック項目の合計を説明変数とし,精神的な訴えで学生相談室利用した学生を目的変数とするロジスティック回帰分析を実施した。2つめは,ニューラルネットワーク(NN)による不適応リスク予測モデルである。UPIの60項目の得点を入力とし,学生相談室利用の有無を出力とするNNを構築し,すべてのUPIデータを用いて学習モデルを構築した。分類精度の低さなどから,発達障害を抱えた学生の早期発見に繋がっていないことが考えられたため,今後は,発達障害傾向をスクリーニングする項目を加えることも検討に加える。なお,1つめの結果については国際学会にて発表し,②の結果については,平成30年度の学会で報告する予定であり,その後論文にまとめる予定である。 今後の研究では,面談で得られた情報とUPIデータの両方を使った分析を進めていく。さらに,情報共有体制について検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
UPIデータを使用し,さらにデータの数を増やすことでスクリーニングシステムの精度を上げたいと考えたため,これまでのデータの整理や,新たな項目の調整に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度には,発達障害の傾向をもつ学生をスクリーニングできるよう,これまでのデータに新たな項目を加えたスクリーニングシステムの開発と分析を進める。 さらに,面談で得られた学生のテキストデータを用いて,テキストマイニングによる傾向の分析を進めていきたい。その結果の精度や数値をもとに,情報共有体制について検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ処理と分析が遅れたことにより,未使用額が生じた。 今年度,引き続きデータ処理にかかるアルバイト謝金や,出張旅費に使用する予定である。
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