最終年度となった令和元年度は以下の3点を実施した。 ①インタビューで明らかになった「老年期クローン病患者のニーズ」と「老年期クローン病患者のケアの課題」について比較検討し、老年期クローン病患者に対する看護の方向性(看護指針)案として、『加齢を踏まえた支援』、『フィジカルアセスメント、問診を含めた観察に基づいた的確なアセスメント』、『セルフマネジメントとセルフモニタリング実践にむけた支援』、『在宅療養を見据えた支援』の4つを見出した。 ②①で見出した看護の方向性を基に、全国の炎症性腸疾患専門病院でクローン病患者に対しケアを実践する看護師4名を召喚し、老年期クローン病患者に対する効果的かつ実践的な看護の方向性を明確にすることを目指し、検討会を実施した。意見交換により、老年期クローン病患者に対する看護の方向性として、【加齢による影響を踏まえ残存機能を活かしたセルフケア支援】、【在宅療養を支えるための支援】、【加齢、併存疾患、合併症を踏まえ客観的観察を重視したフィジカルアセスメント】、【エンド・オブ・ライフケアの視点での意思決定支援】、【患者が安心して支援を受けられるための看護体制の構築】の5つを確立した。 ③研究成果として、1)第45回日本看護研究学会にて「老年期クローン病患者のニーズの明確化(第2報)~加齢による影響、心理的変化、ニーズに焦点をあてた分析~」、2)第24回日本難病看護学会で「老年期クローン病患者に対するケアの課題の明確化」、3)第10回炎症性腸疾患学会において、「老年期クローン病患者に対する看護実践~老年期の特徴を踏まえた支援~」を発表した。また、月刊雑誌「難病と在宅ケア」に「老年期クローン病患者が病気と加齢を踏まえ自分らしく生活できるための支援」について投稿をした。
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