絵本を使って多文化共生意識を育てる保育が多く行われている(研究2)が、先行研究ではその有効性は確認されていない(研究1)。その理由として幼児が大人も異民族・人種に対して否定的な態度を持つと誤解している可能性が指摘されている。そこで本研究では、大人が外集団成員との接触を明確に推奨する内容の絵本を制作し(研究3)、現役の保育者等にこの絵本の読み聞かせを子どもたちへしてもらい、評価を求めた(研究4)。その結果、子どもたちが絵本に夢中になった一方で、外国人との関わり方には変化が見られないという評価が得られた。今後、行動面だけでなく、子どもたちの多文化共生意識の変化について実証的に検討する必要がある。
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