研究課題/領域番号 |
17K18311
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研究機関 | 湘北短期大学 |
研究代表者 |
熊谷 摩耶 湘北短期大学, その他部局等, 専任講師 (90759078)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 比較文化 / 東西交流史 / マカートニー使節団 / 18世紀 / 中国女性像 / ウィリアムアレグザンダー / 異文化理解 / 異文化表象 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、西欧諸国にて中国像が大きく変化する、いわば過渡期とされている18世紀-19世紀初頭の中国像の原型を明らかにすることである。
平成30年度も引き続きマカートニー使節団の残した記録の中でも、画家ウィリアム・アレグザンダーに関連する資(史)料の国内での収集、分析とその成果発表を中心に行うことに重点を置いた。さらに、中国に関する書籍も他に記しているジョン・バローの著作への検討を行った。また、それらの作業を進めていくうちに改めて、使節団員が参照し、18世紀以前の西欧諸国における中国像形成に影響を与えた宣教師らの資料を再検討する必要性が生じたため、検討対象を広げた。そこで、1)国内におけるアレグザンダー、バロー等の手による画像資料と公刊済みの画像資料の比較検討、2)資料(未公刊であるアレグザンダーの日記、東洋文庫所蔵の画像資料、公刊済みのスケッチ画)の分析、3)分析結果の成果を学会にて発表を行った。なかでも、平成30年度では、団員たちが共通して記している項目の内、中国女性がその姿を公に表さないとする中国女性の「籠居」の習慣とそれに関する言説の分析を行った。そのため、アンダースンらが記録し、描写している中国女性の特徴とその理由を指摘することで、中国像形成への影響について論じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度からの遅れの作業を今年度は中心的に行った。すなわち国内での資料収集と、分析を中心に行い海外での調査に備えた。しかし、東洋文庫等にて調査を行ったところバローやストーントンなどの団員の著作の挿絵にはアレグザンダーの手による画像資料以外の画像も複数使用されていることが確認できたため、画像資料の新たな分析方法を検討している。それらを優先するために海外での調査は来年度に行うこととした。しかし、一方で画家アレグザンダーの未公刊史料である日記、各種画像資料を中心に分析を進められたため、基盤的な作業は着実に進んでいるといえよう。
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今後の研究の推進方策 |
今後の方策として、1)国内での資料調査の完了、2)海外での資料調査、3)アレグザンダーの未公刊史料であるスケッチブック(大英図書館所蔵)と刊行済み資料の検討等を中心に行っていく予定である。とりわけ未公刊史料の分析と収集、ならびにその成果の発表に重点をおく。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は当初の予定では英国の大英図書館、Royal Asiatic Society of Great Britain and Irelandでの調査を計画していたが、前年度の体調不良による遅れを取り戻し、より現地での調査を円滑に行うために国内での資料収集・分析を中心に行った。以上の理由より、英国での調査を来年に見送ることにしたため、次年度の使用額が生じることとなった。
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